原作・小原眞紀子、作・露津まりいさんの連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第06回)をアップしました。第3章『溶かしバターの中で砂糖とショコラは背反する(後半)』です。スターのカオルさん、ムチャクチャなんですけど、しめるところはしめますねぇ。

 

 「あと少し、お待ちを」(中略)

 と、そのとき入れ違いに、大輪の牡丹が飛び込んできた。

 着物の裾を蹴散らし、まっすぐ社長に駆け寄ると、その膝にすがりついた。

 「詞が、やっと詞ができました」

 カオルが喘ぎながら、一枚の紙を差し出していた。

 「どうしたの、あんた」

 社長は仰天し、紙切れをろくに見ずに真壁に渡した。

 「いいじゃないですか、いいですね、社長」と、真壁は間髪を入れず言った。

 三輪田が受け取ったそれを、彩子も手元から覗き込んだ。

 出前じゃあるまいし、饂飩会社の注文なんか知るか、とカオルに怒鳴られ、彩子がこしらえた詞が修正され、そこに書かれていた。

 「あんた、着物似合うねえ」

 山本富士子も、樋口可奈子も真っ青だと笑う老社長は、いまや上機嫌だった。

(原作・小原眞紀子 作・露津 『お菓子な殺意』)

 

石川は文学畑の編集者ですから、芸能人の方とはあまりお仕事をしたことがなひですが、お会いすると、やっぱ普通の人とは違うな~と思ふことがおおござんす。芸能人もいろいろで、ミュージシャンは歌や演奏の職能を持った方々です。タレントさんになると、頭の回転が速いとかいろいろな芸が求められます。中には存在そのものに価値を認められている方もいらっしゃる。極端な言い方をすると、お呼びするだけでギャラが発生するわけですが、それを人に納得させるだけの容姿とか存在感を持っておられるんですよねぇ。

 

それに比べると物書きさんは地味な存在感でいいわけですが、プロを自称する以上は、素人が及びもつかないような圧倒的な発想力、文章力を持っているのが理想です。人間、年を取ってくると気力、体力が衰えます。早い人だと30代後半くらいから衰えが見え始めます。物書きは職能人ですから、年を取るほど発想・技術力が上がっていかなければならないのに、『こんなもんでいいか』といふ堕落が始まるんですね。

 

それを避けるにはどーしたらいいのか。身体を鍛えてもムダでしょうね(笑)。誰もが書き始めた時には高い理想を持っていたはずです。それを見失わないこと、あるいは到達できそうもない高い理想を設定してそれを追い求めれば、衰えと堕落は防げると思います。

 

 

原作・小原眞紀子 作・露津まりい 連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第06回) (縦書)版 ■

 

原作・小原眞紀子 作・露津まりい 連載サスペンス小説『お菓子な殺意』(第06回) (横書)版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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