第2回 辻原登奨励小説賞受賞作家・寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『証拠物件』(第07回)をアップしましたぁ。四章上編です。寅間さんの小説は、なんか魅力ありますね。繊細な乱暴さに惹かれるのかなぁ。つーかそこにリアリティがあるんだな。エンタメでも純文学でも多少暴力的で不良っぽい描写はよくあるんですが、ツクリモノって感じがする。でも寅間さんの作品は現実の匂いがする。寅間さん、ヤバイことやってないでせうねぇ(笑)。

 

 清美は爆弾だ。いつ爆発するかは分からないが、必ず爆発する爆弾。爆弾と一緒にいるなんてまっぴら御免だ。しかも清美を爆弾にしちまったのは自分たちじゃないか。俺なら耐えられないだろう。案外、こいつの方がタフなのかもしれない。

 サキエさんが小走りに戻ってくる。革ジャンの下からシャンペンのボトルを出して「こっそり頼んで一本貰ってきちゃった」と笑う。音をたてずに静かに開けて、とシュンジに頼んでいる。

 「コウタ君はもう酔ってるから無理だもん」

 たしかに無理かもしれないが、それは酔ってるからじゃない。今俺にシャンペンなんか持たせたら、思いっきり振って店中にぶちまけちまいそうだ。それを分かってるシュンジはテーブルの下で慎重に栓を抜いている。優しいヤツだ。

 シャンペンは、酔いが回った状態でも意外に美味かった。胃が受けつけないかと思ったが、すんなりと受け入れてくれた。うまいっすね、と呟くと「分かるの、コウタ君」と笑われる。分かりますよ、と反論するのはガキっぽいので、「すいません」とおどけて謝った。

(寅間心閑『証拠物件』)

 

ん~いいですねぇ。先日第3回金魚屋新人賞が決定しました。新人作家のみなさんは本を出して世に認められて、できれば文筆で収入を得たいとお考えだと思います。それにはほかの社会と同様の職能が必要です。なんでもいいから当たって有名になる方が、無名のままよりいいとお考えになる方は多いでしょうが、理想は自分で〝時を選ぶ〟ことです。アイディア力と筆力がなければ結局続かない。

 

文学金魚で連載した著者はお感じになっていると思いますが、このプラットホームは厳しいです。毎日次々コンテンツがアップされる。それはスタティックな紙とは違う焦燥感のようなものを著者に与えます。石川はこのスピード感とそれに耐える精神力が、もしかするとネットメディアの特徴になるかもしれないと考えています。有名文芸誌に年に一、二回、しかも半年一年前に書いた作品が掲載されるよりも、金魚で泳いだ方が体力がつくと思います。

 

 

寅間心閑 連載小説『証拠物件』(第07回) 縦書版 ■

 

寅間心閑 連載小説『証拠物件』(第07回) 横書版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

第04回募集要項_cover_01

 

■ 予測できない天災に備えておきませうね ■