純文学エンターテイメント作家、遠藤徹さんの連載小説『ゆめのかよひじ』(第09回)をアップしましたぁ。『ピンクのカーディガン』編です。主人公の女の子は、ちょっと潔癖症になっちゃったみたいです。

 

 「ばっかりあらってるね」

 そんなことを、かなちゃんからいわれたのは、きのうでした。どうやら、あたしはじぶんでもきがつかないうちに、とてもきれいずきになってしまっているようでした。

 なんだか、いつもばいきんがじぶんをねらっているようなきがするのです。のにおいや、もののにおいがみょうにきになるのです。いつもくんくんとじぶんののにおいをかいでしまいます。かなちゃんは、ようすけくんたちのせいじゃないかしら、といいます。

 あれからちょくちょくようすけくんや、あけみちゃんにいやなことをされているからで。さいしょのきっかけをつくったたいきくんは、もうなにもかもわすれているようでした。というより、あたしのことなんかたいきくんは、もともとなんのかんしんもないのでした。

(遠藤徹『ゆめのかよひじ』)

 

小学生の女の子が主人公なので、学校でのイジメのシーンもあります。ただ『ゆめのかよひじ』が描こうとしているのは、もっと深層にある何かでしょうね。我が儘で身勝手なお母さん、暴れるお兄ちゃん、残酷だけど子供っぽいイジメに走る同級生たちと、主人公の身の回りの世界はざわついています。しかし彼女の心は静まりかえっている。その静まり返った心の中に、不在のお父さんの輪郭が浮かびます。

 

この小説構造を効果的に表現しているのは、言うまでもなく平仮名のみの表記です。平仮名だけの小説は読みにくいように思われますが、『ゆめのかよひじ』についてはそんな感じがしません。作家の確信が選ばせた書き方だからです。作家が作品を書く動機は様々です。テーマも多種多様です。だけど作家の確信的な芯が通っていなければ、作品にはどうしてもほころびが生じてしまいます。『ゆめのかよひじ』にそれはないですね。実際、遠藤さんは書きたい主題に合わせていろんな書き方ができる作家なのです。

 

 

遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第09回) pdf版 ■

 

遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第09回) テキスト版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

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