小原眞紀子さんの連載純文学小説『神違え』(第08回)をアップしましたぁ。マンションの理事長は方違えによって大長(おおおさ)になられたのですな。『神違え』のタイトルの由縁です。現世の権力獲得に向かって人間の自我意識はおっそろしい勢いで肥大化してゆき、その過程で様々な奇跡を巻き起こすのです。大長が座敷童を見たといふのもその一つです。中曽根元首相とか偉い政治家の方も、座敷童が出るという宿に泊まって座敷童を『見た』と言っております。ホントに見たのか権力に向かう精神がどうしても『見させた』のかはわかりませんが(爆)。

 

 「これはただの会食。ニューオータニの宴会は風呂付きたい」

 「あのホテルの湯は不老長寿てだもんね」と、柚木子伯母が頷く。

 そぎゃん、そぎゃん、と笑子叔母が喚いた。

 「大陸から湧き出してから、海底の地下水の入り込んで」

 「うん、まあ、だいぶ薄まっとろ」と従兄弟の公介が言った。(中略)

 「せからしかっ」

 突然、大長が立ち上がった。(中略)

 「なんが始皇帝か」と、大長は宣った。

 「すでに死んどるところに、不老長寿の名に値ばせん」

 祖母と文彦伯父は俯き、やがて深く頷いた。

 大長は、いつ九州弁をマスターしたのか。

 奇跡を目にした思いに、わたしもまた頭を垂れた。

(小原眞紀子『神違え』)

 

こういう箇所がとっても小原さんの小説らしいところです。現世では奇跡なんてものは起こりません。不老不死の仙薬も温泉も存在しないのです。でも一瞬で熊本弁をマスターするといった奇跡なら起こります(爆)。で、こういった種類の奇跡が起きると、その後に何が起こるのか。続きが楽しみでありますぅ。

 

 

小原眞紀子 連載純文学小説『神違え』(第08回) pdf版 ■

 

小原眞紀子 連載純文学小説『神違え』(第08回) テキスト版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

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