山田隆道さんの連載小説『家を看取る日』(第20回)をアップしましたぁ。『家を看取る日』もいよいよ大詰めです。今回は主人公と父親の直接対決です。父と子の対立は古典文学から近・現代文学まである根本的テーマですが、『家を看取る日』のような面座しての対話は珍しいかもしれません。特に日本文学では志賀直哉の『暗夜行路』のように、双方が阿吽の呼吸で和解という精神状況に達し、実際に言葉を交わすのはほんの少しという場合が多い。しかし山田さんはそのような曖昧な解決を嫌ったようで、直接対話をスムーズに行うための仕組みも用意しておられます。

 

 僕は実家に背を向け、歩き始めた。しばらく歩いたところで足を止め、再び実家のほうを振り返る。離れたところから眺めてみると、少し印象が変わった。

 あの家は、僕を縛る鎖ではなかった。

 あの家は、僕と父を隔てる障壁でもなかった。

 あの家は、僕と父をつなぐ、かすがいだった。

 今ごろ名残惜しい気持ちが芽生えてきた。僕は別にあの家が嫌いなわけじゃない。あの家に住む父のことだって、僕はたぶん嫌いなわけじゃない。

(山田隆道『家を看取る日』)

 

今回の連載の末尾ですが、子どもが自分の家に対して抱く気持ちはこのようなものでしょうね。正直に言えば、こういった記述にならざるを得ないと思います。フィクションは完全断絶や完全和解に傾きがちですが、現実はそうでもない。どちらに進んでも曖昧な後悔が残るのが現実だと思います。そのような人間感情をうまく表現しておられます。父と子の直接対話がどのようなものであったかは、連載をお読みになってお楽しみください。

 

 

山田隆道 連載小説 『家を看取る日』(第20回) pdf版 ■

 

山田隆道 連載小説 『家を看取る日』(第20回) テキスト版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

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