山際恭子さんのTVドラマ批評『No.137仰げば尊し』をアップしましたぁ。TBSさんで、日曜日夜9時から放送されているドラマです。寺尾聰さん主演で多部未華子、真剣佑、村上虹郎、石井杏奈、尾美としのり、石坂浩二さんらが出演しておられます。脚本はいずみ吉紘さんで、原案は石川高子さんのノンフィクション『ブラバンキッズ・ラプソディー―野庭高校吹奏楽部と中澤忠雄の挑戦』です。老教師の指導によって、県立高校吹奏楽部が半年で関東地区大会銀賞を受賞し、翌年には千校が競う「吹奏楽の甲子園」へと出場した実話のドラマ化です。

 

山際さんは、『私たちの日常は、こういう普通の美談に溢れている。そもそも美談というのは、普通に生きていく上でのちょっとした善意なり、覚悟なりから生じるものに過ぎない。そしてそれが私たちの日常に溢れている以上、ドラマは現在、また別の役割、表現を模索するのが普通ではないかと感じる。そうあるべき、というのではなく、同時代人としてそうせざるを得ない。逆に言えばしかし、それに意識的であれば、ひとつの挑戦として真っ直ぐな美談ドラマを作ってみせる、という姿勢もあるだろう。それは現代のフィクション、ドラマというものを逆照射して露わにする面がある』と批評しておられます。

 

こういったドラマばかり溢れてしまうと、なんだか戦前の道徳教育のようになってしまいますが、10年、15年の世相といった状況を見切った上で、〝あえて〟このようなドラマを市場にぶつけてみる価値はあるということでしょうね。ただこの種のドラマもまた一種の飛び道具です。制作者側の意図と状況判断がしっかり伝われば、見続けることができます。ただそうそう同じ手は使えないだろうなぁ。

 

吉本隆明さんが黒田喜夫さんの追悼文で、『黒田君、君はいつも正しかった。それが僕にはうさんくさく思えてしょうがなかった』といふ意味の文章を書いておられたと記憶しています。黒田喜夫は典型的な戦後プロレタリアで左翼詩人でした。同じことは寺山修司の戦中派に対する反発にも言えます。簡単に言えば、寺山は『戦争に行ったのがそんなに偉いのかよ』と反発したわけです。言い悪いの問題ではなく、絶対的に正しいと思われるような事柄は、様々な批判によってその強度が試されます。

 

 

山際恭子 TVドラマ批評 『No.137 仰げば尊し』 ■

 

 

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