二〇一六年六月十八日に、東京目黒の日仏芸術文化協会で行われた第1回文学金魚大学校セミナーのレジュメをお届けします。第三段でラストバッターは、『リード小説大賞決定』です。皆さんから募集させていただいたリード小説の中から、発案者の山田隆道さんに大賞を決定していただきました。また第一回文学金魚新人賞受賞作家の小松剛生さんにゲストで登場していただきました。

 

大賞はMamrmtmewさんの作品で、『時のテープは使い尽くされ、22世紀が来ると突然リターンし始めた!跳ね返る時間の中で、二重になった現実を描く。国際化の進んだ各都市は”古き良き時代”の復活に喜んだ。〈以降の人々〉は過去の日々の中で、未来の子供達を育ててゆく。過去未来小説!』というリード小説です。

 

この作品について山田さんは、『タイムマシンモノ、タイムスリップモノは山ほどありますが、時間逆戻しモノは今まであまりなかった。またこの作品では、過去の時間を切り取っていけば、いくらでも小説を量産できそうです。そういう意味でスケール感もあります。そして実際に起こった世界中のあらゆる史実を、時間を逆戻しすることで作品の中に絡めてゆくことができる。また簡単に「時間逆戻しモノです」と言えるから、営業さんにもアピールする作品です』と批評しておられます。

 

情報化時代になって、書店には小説をどう書くかといったノウハウ本がたくさん並んでいます。作家による小説の書き方講座も盛んです。別に秘密でもなんでもないので、文学金魚でも小説文壇や詩壇の仕組みを積極的に公開しています。作家や詩人として活動したいと望むなら、皆さん本気で学習してください。文学の世界は学校や会社と違って、誰にも、何にも縛られずに自由に活動できる場所だとお考えならそれは大間違いです。どのジャンルでも自由でいるには力が必要です。厳然として存在する社会的コードの上に立たなければ自由とは言えないのです。

 

自由であるためには、実在の社会的コードを深く認識する必要があります。創作においても同じです。型にはめて作品を仕上げられない作家が、既存の型を壊す作品を書けるわけがありません。また型は〝商品〟のことでもあります。パッケージから中身まできちんとした商品を書こうと思わなければ、それは出来上がりません。売れなければ結局は作家や詩人として活動してゆけないのです。

 

また型にはめた商品を作り出すことは、前衛的作品を書く場合にも役立ちます。前衛的作品といっても、それは市場で読者の反応が試される商品の一つです。きちんとしたパッケージ商品として作品を仕上げることを繰り返していれば、前衛的作品を書いてもそれは必ず商品の姿になります。山田さん提唱のリード小説はそのような訓練にもうってつけです。

 

これだけ情報化社会になっているのに、編集者を始めとする他者に、一からすべて教えてもらおうというのは怠惰でしかありません。いつの時代でも、自助努力で一定水準以上まで自己能力を持ち上げるのが基本です。基本は自助努力がすべて。他者が作家にしてあげられることは、ほんの少ししかないのです。

 

 

第1回 文学金魚大学校セミナー 『リード小説大賞決定』 山田隆道 小松剛生(ゲスト) pdf版 ■

 

第1回 文学金魚大学校セミナー 『リード小説大賞決定』 山田隆道 小松剛生(ゲスト) テキスト版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

第04回募集要項_cover_01

 

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