小原眞紀子さんの連載純文学小説『神違え』(第04回)をアップしましたぁ。小原さん、かなり世の中の仕組みとか経済に明るいですね。文学者の中には『東洋経済』を読んで日本を背負って立つ経済通になったと勘違ひするやうな御目出度い人もいますが、実際の世の中の仕組みやリアルなお金の動きについては、ほとんど何も知らない人が多いです。だけんど特に小説では、それらに関する知識を持っている必要があります。まぁ人間の自我意識の苦悩を描く私小説作家でずーっといようと思えば、必要なひかもしれませんが(爆)。

 

 「じゃ、大都は。国庫の金を注入して、まだ生き残ってる」

 「名前は、ね」

 わたしは言った。

 が、この山城には確かに、その残党が。(中略)

 まあ、あり得るわね、とわたしは息を吐いた。

 「そしたら経歴詐称でしょ。番台から引きずり下ろす理由になるじゃないの」

 それは、そうかもしれない。が、経歴詐称が問題になるのは、現状の業務に支障がある場合ではないのか。

 ある、と長は言い切った。

 「ここは山城よ。大都や五陽の支配から逃れようと、もとおさも守も、わたしも頑張ってきたんじゃないの」

 呪術をお願い、と来林の長は真剣な眼差しで言った。

 「呪術をかけて。わたし、わかったの。もとおさの呪いがどんなものかってことが」

(小原眞紀子『神違え』)

 

世の中の仕組みを知りながら、そこに呪術をかけるといふのが小原さんの『神違え』の流れのやうです。簡単に言えば金や権力の上位概念は存在するといふことですね。こういふ上位概念は小説でも必要だと思います。なぜか。世界は複雑であり単純でもあることがわかるからです。悲惨でもあり滑稽でもある。例えば私小説が描く自我意識の苦悩って、ちょっと視点を変えれば滑稽ですよね。そればっかり書くのは本当にそう思っているからではなく、その滑稽な面を描く思考法と小説の方法を持っていないからだと思います。

 

 

小原眞紀子 連載純文学小説『神違え』(第04回) pdf版 ■

 

小原眞紀子 連載純文学小説『神違え』(第04回) テキスト版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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