水野翼さんの文芸誌時評『No.003 幽(vol.024)』をアップしましたぁ。水野さんは『いつも思うのだが、よくネタが尽きない。いや、とっくに尽きてるかもしれないが、ネタというのはそもそも尽きたと思ったところからの勝負だ。ネタに寄っかかった読み物が存外つまらない、というのもよくある光景ではある』と書いておられます。まったくそうですね。

 

角川さんは『幽』『Mei(冥)』『怪』などのムック形式の雑誌を出しておられます。執筆者は多彩ですが、このジャンルには根強いファンがいらっしゃるといふことです。水野さんは『我々は揺るぎなく思えるリアルに暮らしながら、揺るぎないのでなければ困ると思いながら、それがぺろりと一枚めくれることへの期待と怯えを抱きながら生きている。それが「小説」という文学のジャンルを成立させる、本質的な要素の一つであることは疑いない』とも批評しておられます。これらの雑誌は、いつの時代も消えることのない人間の欲求(指向)を集約した雑誌です。マイナーに見えるけど底堅いニーズがあります。

 

ただこういったニーズのありようは、現代世界全体に広がっているでしょうね。小説に限りませんが、ドーンと大ヒットしてスターになるよりも、マイナーっぽいけど底堅いニーズに支えられた表現者が、いつのまにかビッグネームになってゆくことが多いと思います。一部には知られていても、メジャーになるのに時間がかかる時代なのかもしれません。またそういった底堅いニーズをつかんでいる表現者は、最後のところ、強いのであります。

 

情報化社会といふ、瞬時に情報が伝播してしまう現代社会情勢とはちょっと逆行するようですが、ある核心を掴んだ作家は根気よく、でも一貫してブレることなく作品を発表してゆくべきでせうね。現代では最初から大きなパイを狙うのは、宝くじに当たるような賭けですが、情報が行き渡る時代だからこそ、確実な地盤を作りやすいとも言えます。極端な話し、1万人の読者を抱えている作家なら、少なくともコンスタントに本を出してゆくことはできます。

 

■ 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)は3月31日〆切です ■

金魚屋では21世紀の文学界を担う新たな才能を求めています。

小説はもちろん短歌・俳句・自由詩などの詩のジャンル、あるいは文芸評論などで、思う存分、新たな世界観、文学観を表現したい意欲的作家の皆様の作品をお待ちしております。

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水野翼 文芸誌時評『No.003 幽(vol.024)』■