露津まりいさんの連載サスペンス小説『香獣』(第22回)をアップしましたぁ。芙蓉子さん、いい度胸をしてます。けっきょく紫苑庵で一夜を過ごしたやうです。しかもかなりの熟睡(爆)。でも現実ってこんなものかもしれません。『玄関先で自分の靴が見当たらず、探すと傘立てに突っ込んであった。小宮路の咄嗟の早業だった。存外、こんなことに慣れているのでは、とふと思った』とか『香獣』は小技も冴えております。

 

 「蘆目河さんでいらっしゃいますか」

 三梼物産総務部長代理の蘆目河は、ノートにあった肩書きの中では最も位の低い、つまりノンアポの飛び込みでも確実に会えそうな、ほぼ唯一の人物だった。

 「そうですが。エゼーナの小宮路専務からのお使いとか?」

 一階ロビーに降りてきた蘆目河は、三十代半ばほどだったが、あの席に呼ばれるだけあって落ち着いてみえた。バティストーニなのか、スーツのボタンホールが手縫いだ。ブレゲの腕時計は少しばかり分不相応だった。さらに落ち着いているように声を低めているのは、受付嬢の耳を憚っているからに違いなかった。

 

今回はなにげにスルッと重大な展開が起こります。どうやらエゼーナの小宮路が紫苑庵で行っている香席は、株のインサイダー取引に絡んでいるらしひ。む~露津さん、株にも詳しいのですねぇ。大人だわぁ(爆)。でも本格サスペンスは徹底したリアルを前提に、そこで口を開ける人間精神の闇を描く小説ですから、こういった知識も必要です。スリリングなカマかけ面談は次回に続くのでしたぁ。

 

 

■ 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)は3月31日〆切です ■

金魚屋では21世紀の文学界を担う新たな才能を求めています。

小説はもちろん短歌・俳句・自由詩などの詩のジャンル、あるいは文芸評論などで、思う存分、新たな世界観、文学観を表現したい意欲的作家の皆様の作品をお待ちしております。

応募要項_01_cover (500dpi)

 

 

露津まりい 連載サスペンス小説『香獣』(第22回) pdf版 ■

 

露津まりい 連載サスペンス小説『香獣』(第22回) テキスト版 ■