アリス失踪!_04_cover_01ポスト・モダニズム時代において、オリジナルからの引用・二次創作・パラレル創作の問題は避けて通れない。ならば翻訳とはなにか、翻訳はどこまで創作の謎に近づき得るのか・・・。英文学者で演劇批評家でもある星隆弘が、『不思議のアリス』の現代的新訳に挑む!。文学金魚奨励賞受賞作。

by 星隆弘

 

 

 

 

 

第四回 潜入命令、チビのビル!

 

 

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でもやってきたのは白ウサギ、とぼとぼもどってきたみたい、さっき来た道をきょろきょろと、探し物してるみたいで、ぶつぶつなんか言ってんの。

 

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「公爵夫人!公爵夫人が!愛するオテテ様ケナミ様、ホーヒゲ様どうかお助け!公爵夫人はどうしたって私を処刑なさります、フェレットがどうしたってフェレットであるように!まったくどこでどうやったらなくせるってんだ?」

 

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わたしそれでピンときた、例の扇子と白手袋を探してるんだと思ったの、わたし根っからの親切だから取ってきてあげようとしたけれど、どこにも見当たらないんだよね。すっかり変わっちゃったみたい、海を泳いでからもう全部。

 

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長い廊下も、ガラステーブルも、ちっちゃいドアも、影も形も。

 

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そしたらウサギがわたしに気付いたみたいで、探し回ってあげてるのに大声で、怒鳴りつけんのよ。「おい、メアリー・アン!こんなとこでなにをやってる?すぐに走って帰って、手袋と扇子を取ってこい!走れ!今すぐ!」

 

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わたし超ビビっちゃって、ウサギが指差す方にダッシュで走ったの、説明するヒマなんかないよ、向こうが人違いしてるのに。「お手伝いさんとまちがってんじゃないの」って走りながらつぶやいちゃう。どれだけびっくりするんだろうあのウサギ、わたしがだれだかわかったら!

 

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でもとにかく手袋と扇子を取ってきたほうがよさそう。ま、見つかったらだけど。

 

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いつの間にか小さくてかわいいおうちの前まで来てた。ドアにぴかぴかの真鍮の表札がついてて「シロウ サギ」って書いてあるの。ノックもせずに入って二階に駆け上がった。

 

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だってこわいじゃん、本物のメアリー・アンにばったり会ったりしたらきっと家から追い出されちゃうでしょ、扇子と手袋が見つからないうちにさ。

 

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「オカシイよねこんなの」ってわたしまた独り言。「ウサギの使いっぱしりなんて!こんなんじゃ次はダイナちゃんのパシリになるかもしれない!」そしたらわたし妄想が止まんなくなっちゃって。

 

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「アリスお嬢さま!はやくこちらにいらっしゃいませ、散歩の支度をしませんと!」「すぐいくわ、ばあや!でも、ネズミの穴を見張ってなきゃいけないの、ダイナちゃんが戻るまでネズミが逃げ出さないように」

 

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でもなあ、うちの人たちダイナちゃんをうちに置いといてくれないだろうなあ、もしダイナちゃんがそんな風にあれこれ命令し始めちゃったら。

 

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そのときわたし、きちんと片付いた小さなお部屋に入るところだったんだけど、窓ぎわにテーブルがあって、その上に(期待通り!)扇子がひとつと小さい白手袋が2〜3組置いてあったの。それで扇子と手袋を1組つかんで、さあ退散ってところで、小ビンが目に入ったんだ。鏡のそばに置いてあったやつ。

 

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今度のは「飲んでね」なんて書いたラベルは付いてなかったんだけど、でもわたし栓を抜いて唇に押し当ててた。「ぜったいなにかおもしろいことが起きるはず」って自分に言い聞かせてね、

 

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「なにか食べたりのんだりするたびにそうだったじゃん、この小ビンもどうなるか試してみようよ。できればもういっかい大きくなれたらいいな、もうやだもん、疲れちゃった、ちっちゃいのはもういい!」

 

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そしたらマジでそうなったの、それも思ってたより効き目すごい!半分も飲んでないのに、頭が天井にぐいぐい当たってるのがわかったし、じゃあかがむしかないじゃん、首が折れちゃうから。

 

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あわてて小ビンを置いて、祈っちゃった、「もういい十分だから、おねがいこれ以上おっきくならないで、このままでもドアから出られないんだから、ねぇおねがいだから、飲み過ぎてないといいんだけどぉ!」

 

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でもダメ!もう祈るのもおそすぎた!どんどんおっきくなっちゃって、すぐに床にひざをつくしかなくなって、と思ったらもうそんな余裕もなくなって、かたっぽのひじをドアにぴったり押し付けて横になって、もうかたっぽの腕は頭にぐるっと巻く格好になって。

 

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でもまだ止まんないの、だからもう最終手段でさ、片腕を窓から突き出して、片足は煙突穴に突っ込む感じで、思わず自分にもつっこむよね「ほらもう身動き取れない!どうなっても知らないよ、ほんとわたしどうなっちゃうの?」って。

 

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でもまあ運が良かったのかな、魔法の小ビンの効果が切れたみたいでそれ以上は大きくならなかった。超息苦しかったけどね、それに、もうどうやってもさ、二度と部屋から出られない感じでしょ、そりゃあかなしくもなるって。

 

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うちにいたときのほうがずっと気楽だったな、って思って、かなしかった。こんなしょっちゅうおっきくなったりちっちゃくなったりしなかったし、ネズミやウサギに命令されたりもしなかったし。わたしがウサギの穴になんて落っこちなければね、

 

でもさ、

 

でもなんか、

 

おもしろくない!?なにこの人生!

 

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なんなんだろ、なんでこんなことになっちゃったの!おとぎ話を読んでいたときにはさ、こんなことって絶対アリエナイんだろうなって思ってたのに、いまわたしこんなことの真っ最中なんだよ!わたしを主人公にした本を出すべき!ぜったい!おっきくなったら書いちゃおうかな。って、もう十分大きいけど。

 

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急に切なくなって、つぶやいた。
「少なくともこの部屋にはこれ以上おっきくなるすき間はないよ、もう」

 

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だけどさ、思うんだけど、これってもう年を取らずに済むってことなの?それならある意味ほっとするかも、おばあちゃんにならずに済むわけだし、あーでもこれからもずっと勉強しなきゃならないってこと!?えーわたしそんなのやだよ!

 

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「まって、じぶんアホやなー」自分につっこむわたし。「どうやってこんな部屋で勉強するん? だって、自分の体だけでぎゅうぎゅうなのに、教科書開く隙間なんてあらへんよ!」

 

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こんなふうにね、はじめはこっちのわたし、つぎは相方のわたしって感じで、ひとりでしゃべくってたんだけど、数分後かな、外から誰かの声が聞こえたからおしゃべりをやめて耳を澄ましたの。

 

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「メアリー・アン!メアリー・アン!」って言ってた。「はやく手袋を取ってこい!」そのあとパタパタ階段を上ってくるちっちゃい足音。ウサギが探しに来たんだ、はっとして体がブルブルふるえてきて、そしたらおうちごとぎしぎし揺れちゃってさ、

 

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すっかり忘れてた、いまわたしウサギの千倍はおっきいんだってこと、じゃあもう怖がる必要ないじゃんね。ウサギはすぐにドアのところまで駆けつけて開けようとするんだけど、ドアが内側に開くタイプだったから、わたしがひじでがっちりつっかえちゃってて、開けようがない。

 

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そしたらまたウサギの声、「ようし、それなら回りこんで窓からだ」だって。

 

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いや無理だから!わたしそう思って、しばらく待ってみて、ウサギの足音が窓の下まで来たかなーってところで、パッて手を広げて空気をつかむようにぎゅっとにぎってみたんだ。

 

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なんにもつかめなかったけど、でもギャアッていうちっちゃい悲鳴とガタンッて物の落ちる音がしたと思ったらガラスがガッシャーンッて割れる音がして、あーこれ、ウサギがガラス張りのキュウリの温室か、なんかそんな感じのところに落っこちちゃったんだろうなあって。

 

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そのあとすぐに怒鳴り声、ウサギのね「パット!パット!どこだ?」って、そしたら聞いたことない声がして「はーい、こっちこっち!リンゴほってたんすよぉ、だんなァ!」

 

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「リンゴを掘ってた、そうかい!」ってウサギまだ怒ってる。「いいからこっち!来い!ここから出るのに手を貸せ!」(ガラスがガシャンガシャン割れる音)

 

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「おい、パット! 窓から突き出てるあれはなんだ?」「はぁ、ありゃあ『うで』っつーもんです、だんなァ」(「ウンデ」って言ったようだったけど)

 

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「腕だぁ?このまぬけ!あんなでかい腕があるもんか?ほらみろ、窓枠にぎっちりだぞ!」「はいそのようで、だんなァ。でもやっぱりうではうでっすよ」「とにかくだ!あんなもの生やしといてどーする、取り除いてこい!」

 

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それきりしーんと声が静かになっちゃって、なんかずっとささやき声みたいなのだけは聞こえるんだけど。たとえば「えー、いやっすよだんなァ、ぜったいいやです、死んでもいやです!」とか「言うことを聞け、臆病者!」とか。

 

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じれったくなってもう一回手を広げてね、空気をつかむのをやってみたんだ。今度はギャアッていうちっちゃい悲鳴が二人分聞こえて、さっきよりもたくさんガラス割れる音がして、キュウリの温室どんだけあるの!って感じ。

 

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あの二人次はなにをする気だろ、窓からわたしのこと引っ張り抜こうって気なら、お願いがんばって! わたしもうこんなところに一分一秒だっていたくないんだ!

 

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しーんとして何も聞こえなくてもじーっと待ってたんだよ。それで、やっとなにか音すると思ったら小さな荷車がコロコロやって来たみたいなんだど、それに続いてはっきりと、たくさんの声がガヤガヤしゃべってるのが聞こえてきたんだ。なにを言ってたかっていうとね、

 

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「もうひとつのハシゴはどうした?」「えっ、一本でよかったんだろ?」「ビルが持ってきてるよ」「ビル!こっちによこせ」「よし、この角に掛けろ」「待った、ハシゴをつなぎ合わせるほうが先だ」「おいおいまだ半分にも届いてねえぞ」「なぁに十分だよ、神経質になりなさんな」

 

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「よぉし、ビル!ロープを放すなよ」「屋根抜けないか、あれ?」「ぐらついてる瓦に気をつけろよー」「おっと落ちてくるぞ!伏せろ!」(ドンガラガッシャーン)「おい誰だ?」「ビルのやつだよ、たぶん」「誰が煙突に潜るんです?」「オレはやなこった、おまえが行けよ!」「まさか、ごめんだね!」

 

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「と、なりゃあビルの出番だな」「おーいビル!親方が煙突に潜れってさー!」

 

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「え?じゃあビルが煙突から入って来るわけ?」声に出ちゃった。「なにアイツら、なんでもかんでもビルに押しつける気!?わたしなにがあってもビルみたいにはなりたくない。この暖炉せまいけど、ちょっとつまさきで蹴っ飛ばすくらいなら」

 

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そこでわたし、煙突の中の足をできるだけ引っ込めて、耳を澄まして待ち構えたの、ちっちゃい動物が(それがなにかまでは想像つかなかったんだけど)かりかりよじよじひっかいて煙突の中をつま先の真上まで降りてきたところを狙ってね。

 

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そして「ビルだ」って掛け声で思い切り蹴り上げて、外の動きを様子見したの。

 

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まず聞こえたのはみんなが一斉に「ビルが飛び出した!」って叫んだ声、そのあとウサギの声で「キャッチしろ、生垣のほうだ!」って続いて、そのあとしばらく静まり返ってたけど、またガヤガヤと声が飛び交うのが聞こえてきた。

 

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「頭を持って」「気つけのブランデーだ、飲め」「むせないようにな」「どうだ、なにがあったんだ?最初から話してくれ!」

 

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最後にか細いヒーヒー鳴く声がしてね(たぶんビルだと思うんだけど)

 

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「ううん、よくわかんねぇ」「もう大丈夫、助かった、もうだいぶいいよ」「話そうにもなにがなんだかめちゃくちゃで、はっきりしてるのは、なにかが飛んできたんだびっくり箱のおもちゃみたいに、そしたらロケット花火みたいに吹っ飛ばされちまって」

 

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「おまえほんとに花火みたいだったよ」ってみんな口々に言ってたとこにね、「こうなったら家に火を放つしかないぞ」って言うウサギの声が聞こえて。だからわたしめいっぱい叫んだの「そんなことしたらダイナちゃんをけしかけるんだから!」って。

 

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そしたら死んだように静まり返っちゃった。あの人たち次はなにをしてくる気かな、頭を使えば屋根をはがしてくれると思うんだけど、なんて考えてたら、二分もしないうちにみんながまた動きだしたみたいで、ウサギの声で「まずは荷車一杯分、はじめ!」って言うのが聞こえて。

 

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荷車一杯分のなに?でもそんなこと考えてる暇はなかった、次の瞬間には小石が雨みたいに降ってきて、窓にガタガタぶつかるの、わたしの顔にもいくつかぶつかったんだよ。

 

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「やめさせなきゃ」で、また叫んだ「やめないとどうなっても知らないよ!」って、そしたらまた死んだみたいに静まり返る。

 

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で、ふと気づいたら、びっくり、小石がみんなクッキーに変わってたの、床に落ちたとたんにね。それ見て名案ひらめいちゃった。これをひとつ食べたらきっとまた身長がどうにか変わっちゃうはず、でもこれ以上大きくなれったってなれないし、ってことはちっちゃくなるはずだよね、たぶん。

 

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そこでクッキーをひとつつまんでごくんと飲み込んだらね、ぐんぐん背がちぢんでいくの、わたし冴えてる!そしてドアを通り抜けられるくらい小さくなったところですかさず家から逃げ出したんだけど、外には小動物や鳥たちがたくさん群れて集まっててさ、

 

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かわいそうなチビのトカゲがビルだったんだ、群れの真ん中で2匹のモルモットに抱えられて、 ビンからなにか飲まされてた。わたしが家から走り出たらみんな一斉に詰め寄ってきたけど、わたし夢中で走り抜けて、ちょっとして気がついたら深い森のなか。ふう、一安心。

 

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それから「まずするべきことは」って独り言しながら森の中を歩き回ったの「体をもう一度もとの大きさに戻すこと、その次はあのかわいいお庭に行く道を探すこと、今後の予定はこれ完璧っと」

 

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ほんとにすてきな予定を組めたと思う、まちがいないね、てきぱきシンプルに組んだんだもん。 ただひとつ問題なのは、その予定をどうやって実現するかはさっぱりわかんないってことだけ。

 

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それで、森の中であたりを見回してちょっと不安になっちゃってたときに、ちっちゃいけど鋭い鳴き声がキャンって、真上から聞こえてきて、わたしハッと見上げたらさ、

 

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ものすごくおっきい子犬が、おっきくてまんまるな目でわたしのこと見下ろしてたの。それからびくびく前足を伸ばして、わたしに触ってみようとしてるんだ。「かわいいねおまえ!」猫なで声になっちゃう、口笛吹いて呼んでみようともしたんだよ。

 

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でもね、さすがに怖くてビビってるのはかくせない、だってお腹空かしてるかもしれないし、そんな時に出くわしてわたしのこと丸飲みにしちゃうのとか、よくある話でしょ、いくらわたしがわしゃわしゃってかまいたくったって、ねえ。

 

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それで、なにをしようってわけでもなかったんだけど、小枝を拾って子犬に向かって差し出してみたんだ。すると子犬がぴょんって飛び上がって、うれしそうにキャンキャン鳴くの、それから枝に飛びついて、くわえて引っ張ろうとする。

 

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だからわたし大きなアザミの後ろにさっと隠れて、踏み潰されないようにかわしたの。次は反対側にちょろっと出してみたら、子犬がまた枝に飛びついてきた、でもあわて過ぎて頭からごろんってひっくりかえっちゃった。

 

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馬車の馬を相手に遊んでるみたいだよね、いつ踏み潰されるかわかんないんだもん。もう一度アザミのうしろにまわりこんで小枝を出してみる。子犬はまたぴょんぴょん飛びついてくるんだけど、ほんのちょっと飛びかかると大きく後ずさりして、ずーっとキャンキャン声からすほど吠えまくりで。

 

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だからしまいにはだいぶ離れたところでへたりこんじゃった。ハァハァ息を切らして、ベロもだらーんて垂れてるの、目も半開きだし。

 

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つまり逃げ出すには絶好のチャンス。一目散に走り出して、もう完全にバテちゃって息できない!ってところまで走った。子犬の鳴き声ももう遥か彼方で、かすかに聞こえるかなってくらい。

 

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「でもあの子犬、すっごくかわいかったなぁ!」キンポウゲに寄りかかって、葉っぱを一枚うちわにして扇ぎながら、つぶやいちゃった。

 

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「あーあ、芸とか仕込んでみたかったな、わたしさえ元の大きさならできたのに!っていうか!忘れるとこだった。またおっきくならなきゃ!えーでも、どうしたらいいんだろ?たぶん何か食べるか飲むかするか、あるいは他になにか、でも大問題なのは『何を?』ってことなんだけど」

 

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ほんと大問題なのは「何を?」ってことでさ。まわりを見渡してみても、お花はある、草の葉も茂ってる、でも食べたり飲んだりしても大丈夫そうなものはなんにもないって状況。でっかいキノコならすぐそこに生えてたけど、わたしの背と同じくらいあるんですけど。

 

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でもわたしキノコの下をのぞきこんで、右も左もたしかめてみて、あと気になるのはカサの上に何があるか、この目でたしかめなきゃって、つま先立ちになってキノコの端っこからのぞき込んでみたらさ、おおきい青イモムシとぴたっと目が合ったの。

 

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キノコの上に座って腕組みして、ながーい水キセルを黙ってふかしてた。この人、わたしにも全然気がついてないし、他にもなにも目に入らないみたい。

 

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(第04回 了)

 

 

* 『アリス失踪!』は毎月09日に更新されます。