鶴山裕司さんの連載歴史小説『好色』(第02回)をアップしましたぁ。森鴎外が史伝『寿阿弥の手紙』で書いた、江戸時代に実在した水戸家御用達菓子商・真志屋の物語です。『好色』の主人公は真志屋のお上さん・お千さんですが、この方は架空の人物ださうです。鴎外史伝の『澁江抽齋』『伊澤蘭軒』『北条霞亭』などに基づいて、幕末の人間像や精神を描くのが鶴山さんの主眼のやうです。

 

鶴山さんは文学金魚で骨董エセー『言葉と骨董』を連載中ですが、骨董に詳しいと歴史小説が書きやすいのかと思ったら、そーでもなひようです。物は物に過ぎないわけで、やはり文書資料が一番重要になるらしひ。骨董はあくまで補助資料ださうです。『正確な時代考証はほとんど不可能なわけで、むしろ何を軸にして何を切り落としていくかの方が重要です』と話しておられました。『骨董などに耽溺する方が小説は書きにくくなるんじゃないかなと』のことでした。

 

文学金魚では大野露井さん、小原眞紀子さんも詩人で小説家です。今の時代、詩人で小説家は別に珍しくなひですが、文学金魚は総合文学メディアですから、単に〝詩も小説も書いています〟的な作家はwelcomeではごぢゃりません。詩や小説の本質を掴んだ演繹的作家が望ましひのでありまふ。鶴山さんの『好色』に〝ファンタジーやSFとしての時代小説ではなく歴史小説を〟といふキャッチが付いているのはそういふ期待の表れでありまふ。

 

 

鶴山裕司 連載歴史小説『好色』(第02回) pdf版 ■

 

鶴山裕司 連載歴史小説『好色』(第02回) テキスト版 ■