小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第010回 格段とカフェ/スノーマン・リベンジ/その姉弟がハットトリックを決める難易度』をアップしましたぁ。

 

 居間にいても面白いこともないので部屋に戻る。

 壁は薄いがいちおう姉と弟それぞれ部屋は分けられている。

 最近、弟の部屋の前を通り過ぎるたびに鼻につく精液の臭いが気持ち悪い。

 「2年か」

 一人暮らしをするのとハットトリックをするのとではどちらが難しいのだろうか。

 居間に戻ってかわいくない弟に訊いてみようかとも思ったが、やっぱりやめた。

 「うるせぇよ姉ちゃん」と言われるのがオチだ。

 「姉ちゃんはうるさいものなんだよ、弟よ」

 ひとりごとを言ってみる。

 部屋の電気を点けないままで自分の貯金通帳に刻まれた数字を確認する。

 ハットトリックを決める準備はできている。

 うるさい姉ちゃんがいなくなって寂しがるなよ。

 弟よ。

 

今回の作品では『スノーマン・リベンジ』は一種のフェアリー・テールとも捉えられるのですが、どの作品でもある種のファンタジーに、ザラザラとした現実の欠片が突き刺さってくるのが小松さんの作品の特徴ではなひかと思います。ごゆっくりお楽しみください。

 

 

小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第010格段とカフェ/スノーマン・リベンジ/その姉弟がハットトリックを決める難易度』 pdf ■

 

小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第010格段とカフェ/スノーマン・リベンジ/その姉弟がハットトリックを決める難易度』 テキスト ■