山田隆道さんの連載小説『家を看取る日』(第08回)をアップしましたぁ。ついに孝介君の秘密が明らかになります。

 

 「勉強ができるって立派なイジメの対象だよ!」

 「え?」

 「大人は成績優秀を褒め称えるかもしれんけど、中高生の間ではダサいとか冴えないとかって言われて馬鹿にされたりするやん。(中略)

 「だいたい地味なガリベン扱いされて、空気みたいになってたやろ」

 今度は縦に振る。そりゃあもう、新一の言う通りだ。(中略)中学生というのは、そういう特殊な精神状態にある時期だ。百メートルのタイムが人間の優劣を支配する時期だ。

 「孝介、塾に行きたくないって言ってたんやろ?」

 「うん、今日は嫌だって。めんどくさいって」

 「それってサインかもな」

 「あ、ああ」

 公園での孝介の様子が脳裏によみがえってきた。もしあれが孝介なりのヘルプサインだったとしたら、私はそれに気づかず、頑として「塾に行きなさい」と命じてしまった。あの子の悲痛な叫びを、あっさり却下してしまった。

 

頼りなさげだったお父さんは、子供の危機の前にしゃっきりして的確な行動を始めます。お母さんもそうですね。パパもママも息子も、それぞれの社会で問題を抱えながら一致団結するのです。こういった人間の関係性の糸が絡まり合って一つの調和へと向かってゆく小説が石川は大好きです。『家を看取る日』は良質の家族小説です。次回がまぢ楽しみですぅ。

 

 

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山田隆道 連載小説 『家を看取る日』(第08回) テキスト版 ■