世界(異界)を創造する作家、遠藤徹さんの連載小説『贄の王』(第14回) 最終回をアップしましたぁ。毎回楽しみにしてきた『贄の王』も今回で最終回です。この作品がどういふ結末を迎えるのかはじっくり読んでお楽しみいただければと思います。ただま、遠藤さんはやっぱりかなり特異な作家さんですねぇ。さすが三浦センセの東大時代からのお友達でいらっしゃる(爆)。
遠藤さんの作品の主人公は人間(の形をした存在)ですが、本当の主役は超越的な力(のやうなもの)であります。ただSFのような二重構造になっているとは言えない。その意味で欧米的な神学小説ではなひのです。あらゆる存在が交わり合い、浸食し合うことで生じる巨大な力のようなものが超越的力として顕現しております。汎神論世界といふか、極めてアジア的世界観です。
『贄の王』にはそのような遠藤さんの世界観がはっきり表現されていると思います。そういう点で遠藤さんにとって重要な作品であり、作家にとっての核となり得る小説であるとも思います。さらなるポピュラリティを得るためには、この核に現実の肉付けをすれば良いのです。遠藤さんは社会学者でもあり環境論者でもありますが、現実批判と『贄の王』世界が結びつけば、作品はおっそろしく混乱したスリリングなものになりそうです(爆)。
不肖・石川、小説連載が終わるたびに悲しい思ひをするのですが、今回はちょいと違います。遠藤さんからは短編を何編かお預かりしておりますので、まだまだ遠藤ワールドを堪能できさうです。
■ 遠藤徹 連載小説 『贄の王』(第14回) 最終回 pdf版 ■
■ 遠藤徹 連載小説 『贄の王』(第14回) 最終回 テキスト版 ■