露津まりいさんの新連載サスペンス小説『香獣』(第16回)をアップしましたぁ。株主総会の裏側が描かれています。不肖・石川、経済にはとんと疎いですが、実業界で実務的な便宜に対して対価が支払われるのは当たり前のことですな。問題はそこに領収証が介在するかどうかでんな。表金として扱うのなら、抜け道はいくらでもあるわけです。

 

たとえばお車代は、いくらといった決まりがありません。原稿料もそうですね。官僚などに寄稿を依頼して、400字一枚につき数万円の原稿料を払ってもいいわけです。一昔前の原発PR誌の稿料は超高かったですよね。高額な雑誌購読料で資金を集めている実質的政治団体もごぢゃる。ひたすら私腹を肥やしたいといふ欲がなければ、組織運営のための合法的な資金集め方法はけっこう豊富にあります。

 

 「美礼さんはね、誰も信じられないんですって」

 くっきりした二重瞼だが、目の底がどんよりして知性が感じられない。それでも鼻筋は通り、尻にかけての肉体の線は確かに魅力的だった。

 今は鏡の中で、厚い唇を微かに開き、呆けたように芙蓉子の言うのに聞き入っている。(中略)

 「彼女の立場を知って、近づいてくる人ばかりでしょ。ここでのエクササイズのときだけ全部忘れられるんですって。あなたと一度、ゆっくりお話しして、素の自分を見てもらえないかって」

 あと十五秒。

 「今日は何時に終わるの?」

 タイムアップ。消費カロリーは389キロだった。

 

今回はフィットネスクラブの若い芹沢トレーナーが、主人公の芙蓉子の口車に乗ってしまいます。こういう若者が、実業の世界ではけっこう危うい役割を演じたりします。石川と同様、実業世界の怖さを何もわかってないですから(笑)。ウブな芹沢トレーナーを、芙蓉子はエアバイクでエクササイズしている数分で口説き落としたわけです。

 

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