大野露井さんの第1回 辻原登奨励小説賞受賞作『故郷-エル・ポアル-』(第10回・最終回)をアップしましたぁ。『エル・ポアル-』も今回で最終回です。寂しいですぅ。物語といふものは、いつか終わってしまふものなんだなぁとつくづく思います。詩なんぞを読んでいて、こういふ感覚を覚えたことはあんまりないかな。

 

ただ詩では処女詩集(歌集・句集)にその作家の資質がはっきり表れると言いますが、小説家の場合は処女作になるでせうね。『僕はカルメンよりも自分の家に詳しくなっていたわけだし、下手をするとエル・ポアルの歴史についても、村人の多くより知っていた。それはもしかすると、外からしかこの村に近づけない僕の復讐なのかもしれなかった』という叙述が、そういった機微を表現しているのかもしれません。

 

ペダンティックな余裕と、熱もなくただそこにある傷が大野さんの文学的主題といふものかもしれません。日本の文壇で成功するためには、多かれ少なかれ、傷の方を痛い、痛いと読者が感受できる地点まで掘り下げなければならないでしょうね。でもま、不肖・石川はんな無粋なことは申しません(爆)。大野さんには多分、別のアプローチ方法の方が合っているのだろうと思います。

 

 

大野露井 連載小説『故郷-エル・ポアル-』(第10回・最終回) pdf版 ■

 

大野露井 連載小説『故郷-エル・ポアル-』(第10回・最終回) テキスト版 ■