山際恭子さんのTVドラマ批評『No.080 全力離婚相談』をアップしましたぁ。真矢みきさん主演で館ひろし、上地雄輔さんらが出演しておられます。脚本は小松與志子、井出真理さんです。山際さんは「設定としては、かつての天海祐希主演「離婚弁護士」とかなり似ている。ただ雰囲気のあまりの違いに、事態に対する解釈の差異というのはここまで開くものか、と感心した。こちらの主演は真矢みき。いずれも宝塚の男役トップスターであったところも面白い」と書いておられます。

 

テレビや映画の場合、ストーリーは〝ドラマ〟に沿って展開します。登場人物が起こした(巻き込まれた)出来事に沿って物語が進んでゆくわけです。起承転結のある物語だと言っていいでしょうね。これに対して、いわゆるアングラ(前衛)演劇を牽引するのは〝事件〟です。シーケンシャルな物語とは関係のないような事件が唐突に起こる。その事件が、全体としては一つの絵となるところが前衛演劇の見所です。大衆小説と純文学小説のアナロジーに近いかもしれません。

 

大衆演劇(小説)的なテレビドラマの場合、秀作と呼ばれる作品にはたいてい純文学的な要素が紛れ込んでいます。山際さんは天海祐希さん主演の「離婚弁護士」について、「最大の魅力はちょっとレトロで映画的な美しい映像で、あくまでクールな天海祐希がそこに絵のようにはまっていた。・・・彼女は、離婚などあつかうのはもちろん不本意で、ずーっと憮然としたまま自らのスタイルを変えようとはしない。・・・それでも人情に厚い結果をもたらすことはできる、というところがよかった」と批評しておられます。テレビドラマの場合、ちょっとした差異化がステレオタイプな物語を魅力的にすることがあるわけです。

 

ですから『全力離婚相談』の場合、山際さんが指摘しておられるように〝全力〟といふことをどこまで深められるか、差異化できるかがポイントになるでせうね。山際さんは「ベタが悪い、というわけではない。しかし人の気持ちもまたロジックなのであり、その場の雰囲気や漠然とした恋心で説明し切れるものではない。少なくとも女弁護士を主人公にした時点で、視聴者はどうしてもロジカルな心の動きを見たい、と期待してしまうのだ」と批評しておられます。

 

 

山際恭子 TVドラマ批評『No.080 全力離婚相談』 ■