全力離婚相談

NHK

火曜 22:00~(放送終了)

 

No.080_TVドラマ批評_01

 

 

 設定としては、かつての天海祐希主演「離婚弁護士」とかなり似ている。ただ雰囲気のあまりの違いに、事態に対する解釈の差異というのはここまで開くものか、と感心した。こちらの主演は真矢みき。いずれも宝塚の男役トップスターであったところも面白い。

 

 事態というのは、要するに企業法務担当のやり手の女性弁護士が事務所を去る羽目になり、一人の女性弁護士として離婚相談を受けるようになる、というものだ。離婚問題にまつわる人間の心理の奥底に触れ、そこで意外な適性を発見して成長する、というところは共通している。

 

 「離婚弁護士」の最大の魅力はちょっとレトロで映画的な美しい映像で、あくまでクールな天海祐希がそこに絵のようにはまっていた。もともと男たちの陰謀で事務所を追われた彼女は、離婚などあつかうのはもちろん不本意で、ずーっと憮然としたまま自らのスタイルを変えようとはしない。あくまでキレる弁護士を押し通し、それでも人情に厚い結果をもたらすことはできる、というところがよかった。人情ものが必ずしも人情に訴えかけるとはかぎらない。どちらかというと東京文化の匂いがする人情だが。

 

 「全力離婚相談」は文字通り全力で、ベタである。やはり名古屋の制作だということがあるのだろうか。女主人公が事務所を辞めたのは、クライアントの離婚案件にたまたま関わり、熱くなりすぎて相手方である妻の肩を持ってしまった、ということが原因だ。自らの離婚経験を乗り越えるというテーマで、離婚と確信的にがっぷり四つ、というところだ。

 

 このがっぷり四つというところが、テレビドラマとしてはやや重い。今どき離婚なんてトラウマにするようなもんじゃないし、天海祐希を想起させる設定でもって、わざわざカッコ悪くベタベタにした上で、これまたわざわざドラマ10でやる、というコンセプトがよくわからない…。

 

 ということからか、数字は低迷したようだ。ただ、視聴者をつかまえることは叶わなかったようだが、観ているかぎりは結構、面白かった。たとえば女主人公が事務所を追われる原因となった離婚案件についても、横暴な婚家の舅、夫の暴力が悪いと思い込んで女性の味方をしたところが実は、というどんでん返しがある。めったに人の肩なんか持つもんじゃない。

 

 全力と言うだけあって、テーマへの取り組みは真剣だと思う。数字がなんだ、やっぱり NHK でしかできないドラマなのだ、とも言える。ただしかし、そのような裏切りを果たした妻が、その真相も明らかにすることなく、女主人公と結構なお友達になっている、というのはどんなものだろう。夫もまた「殴ったりしてごめんな」とか、そうじゃないだろう…。

 

 ベタが悪い、というわけではない。しかし人の気持ちもまたロジックなのであり、その場の雰囲気や漠然とした恋心で説明し切れるものではない。少なくとも女弁護士を主人公にした時点で、視聴者はどうしてもロジカルな心の動きを見たい、と期待してしまうのだ。

山際恭子

 

 

 

 

 

 

 

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