ワカコ酒

BSジャパン(放送終了)

4月2日よりテレビ東京 木曜深夜3:05

 

No.077_01

 

 

 一口に言えば、テレビ東京の人気シリーズ「孤独のグルメ」の女の子版だ。「孤独のグルメ」は文字通り、天涯孤独な独身の中年男がひたすら飯を食うのに対し、こちらは26歳の一人暮らしの女の子が居酒屋で一人、晩酌を楽しむ。ただそれだけの場面、というのは共通している。

 

 こうして並べてみると、「孤独のグルメ」は人気シリーズになっただけのことはある、と今更ながら納得する。「ワカコ酒」がよいとかよくないとかいう以前に、そもそもただ食べるところを映しているだけで見ていられるということ自体が異常だったのだ、と気づかされるのだ。

 

 ワカコちゃんは可愛らしいし、何を食べても、誰と顔を見合わせても、ニコニコしている。一杯呑んでいい気分なのだ、という設定からだろうか。それが観ていて、なんとなく苦しい。美味しくて、つい顔が弛緩してしまっていると言うより、ちょっと頭のネジが飛んじゃってる女の子が営業スマイルを外している余裕もない、というふうにしか見えない。

 

 そして「孤独」は食べ物のスパイスになり得て、「孤独のグルメ」の五郎のことは皆、ちょっぴり羨ましく、しかも五郎が過ごしている時間は、誰にも確かに既視感があるのだ。一方で、スマイルは人間関係の潤滑油にはなり得ても、食べ物のスパイスにはなり得ない、とわかる。実際、こんなに誰にでも笑いかけるワカコがなぜ独りで呑むことにこだわるのかは、あまり伝わってこない。

 

 そして食べるシーンだけで保たせようとするなら、どうしたって最低限の品数は必要ではないか。健啖家の五郎は、どこの店でも(あまり高級店はなさそうだが)金に糸目をつけずに次々注文するのに対して、ワカコちゃんはお銚子一本と出し巻き卵だけで「お勘定!」と言うのだ。どうせ締めはコンビニおにぎりでも食べるのだろうから、その店の別の品を紹介したらどうかと思うが。

 

 かといって、一回につき一品、という強固な思想があるわけでもないらしく、家呑みではあれこれ食っているところをみると、若い女の子らしい節約志向が窺われて、それならいっそ毎日、真っ直ぐ帰宅したらどうか。「ワカコ酒」などと、例の美人だけれども男まさりの酒豪を思わせるタイトルは、ちょっと期待外れ感を与える。「カワイイわたしに、ちょっぴりごほうびー」の類いか、これも。

 

 節約した一品だけで番組一本分、引っ張らなくてはならないがために、どうしても余計なおしゃべりも多い気がする。感想はいいのだが、感情過多であったり、音楽で時間が過ぎたり、店員たちまでがダンスするようなイメージ映像を長々見させられたりすると、こう言っては何だが、ドラマとしてなんとなく「不潔」な感じがする。

 

 そもそも飲み食いする姿だけで番組一本など、できるわけがない。その原則が崩れるとすれば、そこには本来あるまじきストイックな雰囲気、食べること以外の夾雑物を排する潔さがあってしかるべきだ。たかが日常の食物の映像で人の時間を潰そうというなら、多少なりとも覚悟がなければ観てはいられない。

山際恭子