金井純さんのBOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.022 MIXED MEDIA 川端隆之著』をアップしましたぁ。今回は詩画集(?)です。?としたのは金井さんが、『詩画集というのは、テキストと絵のコラボだけれど、それらは互いに対峙していると思う。・・・絵本は・・・補い合っている。・・・『MIXED MEDIA』という本は・・・そのいずれでもない。・・・イラストやタイポグラフィなどは「MEDIA」というよりテキストの一部という感じである。・・・テキストの著者の自我が全部を支配しており、その目的は文字が表現できる外枠を拡げようとしている・・・他人の描いた絵も含めて文字にしようとしている点で、これはすべてテキスト、著者の名による詩集なのだろう』と書いておられるからです。
金井さんはまた、『本には著者が当時書いたエッセイとか評論? も詰め込まれている。それでこれが現代詩と呼ばれるカルチャーに属していると見当がついた・・・その特殊なカルチャーにわざわざラベリングされることを、著者は望んでいるようにみえる・・・今でこそ特殊なカルチャーと認識されている現代詩というジャンルに、著者は当時、誇りというか、ある「権威」めいたものを感じているのではなかったろうか。・・・それがなぜ、今のように特殊な領域へと縮退してしまったのか』とも批評しておられます。
不肖・石川は自由詩業界を岡目八目的にしか見ていませんが、戦後詩も現代詩も終わっていると思います。石川が現代詩で思い浮かべるようなテンションの詩を書いている詩人はほとんどいませんもの。ほんで金井さんの読解に従えば、川端さんの『MIXED MEDIA』あたりが現代詩の最後の方の作品なんでしょうね。「文字が表現できる外枠を拡げよう」とする前衛指向があり、かつ著者自身が現代詩というジャンルに「ラベリングされることを望んでいる」からです。『MIXED MEDIA』、1991年刊であります。
もちろん戦後詩も現代詩も知ったこっちゃねーよ、っていふ作家が増えているのは石川も把握しております。しかしそれは、俺だけ、私だけ目立てばいいのよんという自我意識の産物でもあります。石川、強烈な自我意識、大いにけっこうだと思います。ただし途中で節を折らないように。詩の業界では、有無を言わせぬほど本を売ることで自己主張するのがとても難しい。たいていの詩人は純粋に作品のみでアピールできず、いつのまにか中途半端な業界人になっていきます。インディペンデントな自我意識を重視するなら、そのような陥穽に注意してくらはい。
ただま、詩壇、文壇と言ふとなにやらきな臭いですが、自我意識主張とは別に、自分が愛する文学について真摯に考えるといふ道もあります。戦後詩や現代詩を含め、各時代を代表する詩人たちはそのような思考者でもあったと思います。滅多にお金も名誉も転がり込んで来ない詩の世界では、詩人の主義主張が生命線です。思いきった思考と作品を発表できない詩人は面白くありまへん。石川の編集者的勘ですが、現代詩の総括、早い者勝ちだと思いますぅ。
■ 金井純 BOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.022 MIXED MEDIA 川端隆之著』 ■