金井純さんの『親御さんのための読書講座』『No.029 自転車冒険記-12歳の助走』をアップしましたぁ。現代的なビルディングス・ロマン(少年・少女成長小説)のやうです。金井さんは『『自転車冒険記』の特徴としては、ネットから生まれたシリーズだ、ということである。主人公の北斗も、こっそりブログを立ち上げているという設定で、・・・日本中どこにいても人と繋がる。今の子供にとってネットが一つの「冒険」の場であることを否定はしないが、命がけの大冒険の果て、切り立つ断崖を越えた山頂に Twitter メッセージが届いたら嬉しいんだろうか。ビルディングスの定義はそれぞれの都合であっても、ロマンは孤独にしかない、と思うのは古いのか』と書いておられます。
なかなか難しい問題ですなぁ。ネット社会では簡単に見知らぬ他者と交流することができます。このネット社会を文学のネタとして考えると、① 錯綜した関係性(リアルでもヴァーチャルであっても)から生じる出来事を題材にする、② 時代に遡行して意図的にネット的関係性を断ちきる生き方を題材にする、といふ二つの大方針を立てられると思います。ま、どっちゃでもいいわけです(爆)。今現在小説を書くといふことは、多かれ少なかれ現代社会からネタを拾ふといふことであり、作家によるネタの消化具合が傑作か駄作かを分けます。
ほんで金井さんが引っかかっておられるのは、『自転車冒険記』では、親御さんがサポートカーに乗って九州に向かうお子さんを見守っているといふことでしょうね。金井さんと同様、石川もこの設定が最も現代的だと思いまふ。その意味ではまさしく『親御さんのための読書講座』だなぁ。あ、そ言えば、不肖・石川、幼年のみぎりに森鷗外の『ヰタ・セクスアリス』を読んで、心からガッカリしたことがあります(爆)。子供は親の思う通りに育ってほしいものなのか、親の期待を裏切る、あるいは上回ってほしいものなのか、考えこんでしまひましたぁ。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座』『No.029 自転車冒険記-12歳の助走』 ■