大野露井さんの連作詩篇『空白』『第008回 Ⅶ 肉』をアップしましたぁ。今回は久しぶりの散文詩です。金魚屋アドバイザー詩人さんたちは、詩は形式的にも思想的にも、なに一つ制約のない〝自由詩〟だと定義されており、不肖・石川も考えてみた末に、正しい基礎定義として受け入れました。この定義を元にすれば、「現代詩」は〝現代に書かれている自由詩〟か、〝1950年代から80年代頃までに書かれた自由詩の一流派(エコール)の総称〟といふ意味になります。後者は〝戦後詩〟とか〝モダニズム詩〟とかと同じ使い方ですね。
そんでもテクニカルな次元での書法分類はあるわけで、その代表が〝行分け詩〟と〝散文詩〟です。ただ散文詩といっても小説や評論、エセーと同じ散文形式で書かれているだけで、中身が散文的論理形式になっているといふわけではありません。石川は自由詩の基本はやっぱり行分け詩だと思いますが、散文詩が存在する理由もなんとなくわかります。行分け詩と散文詩では、自ずから作品の意味伝達内容が変化しますね。
大野さんの作品は密室的な細やかさと息苦しさを感じさせることが多いですが、散文詩になるとそれがさらに熱を帯びてくるやうです。今回のタイトルは『肉』ですが、恐らく一組の男女の肉の交わり(必ずしもセックスという意味ではありません)がテーマになっているのだと思います。しかしそれが、精神的なものに抜けない(逃げない)ところがvery大野さんらしい。この詩人、そうとうに人恋しひといふか、人間同士の全的な結び付きを求めているのかな、とちょっと思いました。精神的な結び付きなど当たり前、問題は肉なのでありますぅ。
■ 大野露井 連作詩篇 『空白』『第008回 Ⅶ 肉』』 PDF版 ■
■ 大野露井 連作詩篇 『空白』『第008回 Ⅶ 肉』 テキスト版 ■