山際恭子さんのTVドラマ批評『No.040 軍師官兵衛』をアップしましたぁ。黒田官兵衛は織豊政権の優れた軍師として知られる戦国武将です。豊臣秀吉の死去以降、徳川側につき関ヶ原では東軍として戦っています。機を見るに敏な武将だったわけです。
黒田家は元々近江あたりの武将ですが、関ヶ原の合戦の後、家康は官兵衛を筑前国(福岡県)に加増・移封しています。報奨を与えながら中央から遠ざけるといふ、旧豊家側武将に対する典型的な隔離(外様大名)政策であります。ただ移封後官兵衛はあっさり隠居していますから、ここでも時代の流れを読む能力を発揮していたと言えるかもしれません。
また官兵衛は熱心なキリシタン大名でした。秀吉時代からバテレン追放令はたびたび出ていましたが、うまくそれをかいくぐっていたようです。葬儀はキリスト教の様式で行われたと伝えられています。官兵衛が亡くなったのは慶長9年(1604年)で、徳川幕府による厳しいキリスト教禁止令が発布されるのは慶長18年(1613年)ですから、ここでも官兵衛は逃げ切ったわけです。もちろんこれに関しては偶然かもしれませんが。
信長、秀吉、家康などの天下人の人生は、闘いと立身出世が主題になりますから、人々の興味を集めやすい。でも官兵衛のような、己の知恵と決断力で時代の荒波を泳ぎ切った人の方が、さらに多くの人々の共感を得られる面があると思います。
NHKさんの『軍師官兵衛』は、今のところあまり視聴率が良くなひようです。山際さんは『ようするに中心が見えない』と書いておられますが、不肖・石川も似たような印象だなぁ。官兵衛には信仰に目覚めるような純な心と、人間関係を読む怜悧な能力が子供の頃から備わっていたはずだと思います。その矛盾するやうな心性や能力がうまく表現されれば、もっと魅力的なドラマになると思います。今後の展開に期待ですぅ。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.040 軍師官兵衛』 ■