金井純さんの 『親御さんのための読書講座』 『 No.025 ライ麦畑でつかまえて』 をアップしましたぁ。まだ三が日でお正月気分ですから、なにをアップしやうかと考えましたが、J・D・サリンジャー先生の 『ライ麦畑でつかまえて』 を取り上げた金井さんのコンテンツにあいなりました。最近の読書傾向はほんとうに拡散していて、必読書なんぞあるんかいなといふ状況になっています。しかし 〝The Catcher in the Rye〟 は比較的良く読まれているのではないかと。読み継がれているだけでもこりは目出度いですよねぇ。
不肖・石川が紅顔の美青年だった頃 (?) には、文庫本になると長い間本屋さんの棚に並んでいたものです。しかし現在は文庫本になってもバタバタ絶版になる本が多ございます。石川程度の読書家でも、本はかさばるので定期的に処分したひ。以前は必要になったらまたすぐ買える本は処分してもよいといふ基準を設けていたのですが、最近ではそうもいきません。文庫本一冊でも、どーしよーかなーと悩んで処分しなければならない時代になりました。
金井さんは 『ライ麦畑でつかまえて』 について、『共感して熱狂するタイプ、共感するが醒めるタイプ、退屈だと思うタイプ、読んでないタイプ。学生時代というのは、さまざまな資質の者たちの坩堝にいるようなものだが、結局はその後の人生において、このタイプを異にする者同士が真に交わることはない気がする。『ライ麦畑でつかまえて』 は、そんな作品なのだ』 と書いておられます。好みは分かれるんですが、試金石的作品ですね。村上春樹さんが新訳を出しておられるフィッツジェラルドの 『華麗なるギャツビー』 なんかもそうですね。熱狂する人と、なにこれと思ってしまう人に分かれるみたいです。
ただま、その本を読んだ年齢といふものも影響しているかもしれません。『ライ麦畑でつかまえて』 って、けっこうリアルなんです。あの思春期独特の倦怠感ととんがり方を、リアルタイムで生きている若者にとっては、かえって反発を抱かせてしまう作品かもしれません。逆に言うと、思春期を過ぎてからも一回読み直すと、あの作品の痛切さが身に沁みるといふこともあり得ます。ありきたりですが名作なのであります。お正月に、おせちの残り物を食べながら読み直すのにはいい本だと思いますよ (笑)。初版は 1951 年でもう半世紀以上前です。人間、意外と変わらないものであります。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座』 『 No.025 ライ麦畑でつかまえて』 ■