山際恭子さんのＴＶバラエティ批評 『 No.024 ポアンカレ予想・100 年の格闘 － 数学者はキノコ狩りの夢を見る』 をアップしましたぁ。再放送ですが、ＮＨＫさんの教養番組であります。石川は数学や物理にはうといんですが、ポアンカレ予想は 1904 年にフランスの数学者、アンリ・ポアンカレによって提起された問題です。宇宙はおおむね丸いだろうというポアンカレの予想を、数学的に証明するための問題のやうです。石川には簡単に説明できませんので、ご興味のある方は専門書をご参照ください （爆）。
ほんでこの問題をロシア人の数学者、グレゴリー・ペレルマン博士が解いたんですね。2002 年から 03 年にかけて、インターネット上に論文を発表したやうです。学者さんたちが検証したところ、どうやら完全に解けているといふことになり、彼に数学界のノーベル賞と呼ばれるフィールズ賞を授与することになった。賞金 100 万ドル （約１億円） であります。ところがペレルマン博士、受賞を断って大学からも雲隠れしてしまった。居場所はわかっているやうですが、コンタクトしやうとしても断られてしまふ。それがポアンカレ予想が解けたのと同じくらい話題になったのでありました。
この番組、石川も見たんですが、文学の世界ではとっくに絶滅してしまった 〝天才〟 と呼ばれる人種が、数学や物理の世界にはいるんだなぁといふことに素朴に驚きました。そんでそれは、あながち大げさではないやうです。金魚屋で数学・物理に詳しい方にお聞きしたところ、数学や物理の難問を解くには極めて特殊で研ぎすまされた知性が必要なやうです。数学者って、だいたい 40 代くらいまでに業績を残せないとダメらしひ。素質と年齢の限界を思い知らされる学問領域らしひです。
山際さんはペレルマン博士について、『フィールズ賞もその賞金 100 万ドルも拒絶し、逃げてしまったことから一番考えられるのは、さらなる難題に集中しているということだ』 と書いておられますが、あり得るなぁ。ペレルマン博士は 1966 年生まれですから今年で 47 歳です。数学者として脂がのりきった年齢ですから、数学業界では最後のチャンスの時期に、さらなる難問に取りかかっておられるのかもしれません。
これも石川の素朴な感想ですが、番組を見ていて、数学者ってやっぱ変わってるなぁとひしひしと思いました。でもとっても美しい人たちだといふ印象も受けました。もちろん彼らにだって欲望や野望はあるんでしょうが、そんなものにかまっていられないほど集中しないと、結果を出せない世界のやうです。人間の欲望や迷いを主題にする文学の世界では、なかなかこうはいかないなぁ。でもやっぱ、煩悩をできるだけそぎ落として何かに集中する人っていいですよね。誰にとっても難しいことではありますけんど。
■ 山際恭子 ＴＶバラエティ批評 『 No.024 ポアンカレ予想・100 年の格闘 － 数学者はキノコ狩りの夢を見る』 ■
