露津まりいさんの連載サスペンス小説 『贋物師-フェイク・マスター』 (第 22 回) をアップしましたぁ。悪い奴らは悪い仲間を殺して、さらに追いつめられていくのであります。『贋物師』 はサスペンス小説ですから、詐欺と殺人によって物語が転調していきます。この構造は合法社会を描く経済・政治小説でも同じです。法律に引っかからないけど人を陥れる、殺人は起こらないけど実質的に誰かを社会の片隅に追いやってしまう。ただサスペンス小説では極限まで人間の欲望を遂行するので、人間心理の核心が描きやすくなる。松本清張を始めとして、大衆サスペンス小説なのに純文学的要素を持った作品があるのはそのためです。
雲間さんの 『彼女の考えは納得がゆく。納得がゆかねばならなかった。』 といふ言葉はちょっと感動的ですねぇ。生きていることになんの目的も持っていなかった虚無主義者の雲間さんを、ここまで惹き付ける女性ってどういう女性だらうって考えてしまひます。もしかすると雲間さんより絶望が深いってことかなぁ。そうだとすると、雲間さんはもっともっと底まで落ちなければならなひといふことになりそうです。
そんで悪いヤツの親玉、深山が死んでしまったことは残念ですぅ。不肖・石川、彼のような人ってけっこう好きでした。乱暴な物言いと行動を繰り返しながら、人の心理を見透かしていくタイプですね (爆)。ああいうやり方って、自分に自信があるのはもちろん、苦労して繊細な感覚を身につけた人でなくてはできない。深山さんの退場以降、物語はどう進むんでしょ。楽しみでありますぅ。
■ 露津まりい 連載サスペンス小説 『贋物師-フェイク・マスター』 (第 22 回) pdf 版 ■
■ 露津まりい 連載サスペンス小説 『贋物師-フェイク・マスター』 (第 22 回) テキスト版 ■