山際恭子さんの 『TVドラマ批評』 『No.037 リーガルハイ2』 をアップしましたぁ。堺雅人さん主演の人気ドラマであります。堺さんは 『半沢直樹』 で大ブレークしたわけですが、『半沢』 とはぜんぜん違う演技を見せておられます。また 『リーガルハイ』 の内容も、『半沢』 とは正反対だと言っていいかと思います。『半沢』 は組織にがんじがらめの人間のドラマですが、『リーガルハイ』 の主人公は、社会的な建前を壊す役回りです。
山際さんは堺さん演じる弁護士・古美門研介について、『古美門研介の社会的倫理感の欠片もない、狂ったようなあり様とは、「子供」 のものだ。子供は動物などと同様に、視聴者の視線を問答無用で惹きつける』、『古美門研介を取り囲むものは従来の社会的価値を象徴する人々である。・・・彼らは欲望剥き出しの子供である古美門研介に手を焼き、その術中にはまり、常にしてやられる役回りである。古美門を上から操ることができそうなのは・・・ 〝子供にとっての謎〟 をはらませた存在だけだ』 と書いておられますが、石川も深く同意です。古美門さんは子供が愛されるように愛され、憎まれる。大人が苦労して作り上げた、しかし一皮剥くと、誰もが抜け駆けしたいと思っている建前をあばいてしまうからです。
ただま、『半沢』 と 『リーガルハイ』 の主人公にも共通点はあるわけで、それは当たり前ですが彼らが極めて頭脳明晰で行動力に富んだ優秀な人間だといふことです。そうでなければ一瞬で社会から放逐されてしまふ (爆)。社会の中で一定の場所を占め、かつ既存の社会構造の歪みや虚偽に対して異議申し立てをする自由を確保したいなら、まず力を持たなければならないといふことです。
それがわかると人間は 〝大人〟 になるわけですが、たいていの大人はそこで手段と目的をすり替えてしまう。社会内で一定の力と自由を得ること自体、大変なのですから、それが得られると当初の目的を忘れ、多少不自由でも現状に満足してしまふ。もちろん古美門さんはそんなつまらない大人にはならないでしょうね。ドラマが人に夢を与えるとすれば、そういふところにあるのではないかと思います。今夜の 『リーガルハイ』、楽しみでありますぅ。
■ 山際恭子 『TVドラマ批評』 『No.037 リーガルハイ2』 ■