金井純さんの 『 BOOK レビュー 絵のある本のはなし』 『 No.003 『ガラスのくつ』 エリナー・ファージョン著』 をアップしましたぁ。ファージョンは 1881 年 (明治 14 年) にロンドンで生まれ、1966 年 (昭和 41 年) に 85 歳で死去したイギリスの童話作家です。ワルガキだった不肖・石川はまったく気づいておりませんでしたが、昭和 40 年代に少女時代を過ごした日本の女の子の愛読書だったやうです。童話作家でデビューした江國香織さんなんかも読んでおられたのではないかな。
『ガラスのくつ』 はシャルル・ペローの 『サンドリヨン、またの題、ガラスのくつ』 を下敷きにしています。いわゆるシンデレラ物語です。ペローのシンデレラ物語は、フランスの古い民話伝承を作品化したもので、いわばプロット (骨組み) だけの作品でした。それをファージョンは豊かな物語に変えたのです。金井さんが 『ファージョン作品はもとより劇の脚本、すなわち翻案として書かれたものが多い。そのため主人公ばかりでなく、『ガラスのくつ』 の意地悪な継母とその連れ子の姉たちといった脇役もたまらなく魅力的で、鏡台の前での彼女らの掛け合いはまるで漫才だ』 と書いておられる通りです。
金井さんはまた『ファージョンは短編に佳作が多いが、本来的にプロットが立たない作家ではないかと思う。(中略) 他者の土台の上になら、自身の感性や想像力を自在に展開させることができる。そういうタイプの作家はいる。それは資質であり、単なる力量不足と切って捨てるわけにはいかない』 と書いておられます。これは卓見ですね。確かにファージョンの資質といふか、特徴を的確に言い当てておられます。不肖・石川も『ガラスのくつ』を読みましたが、草木皆物を言う汎神論的世界だなぁと感じましたぁ。
■ 金井純 『 BOOK レビュー 絵のある本のはなし』 『 No.003 『ガラスのくつ』 エリナー・ファージョン著』 ■