鶴山裕司さんの連載評論 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 『 No.020 『琴座』 安井浩司特集』 をアップしましたぁ。鶴山さんの安井浩司論は今回で最終回です。永田耕衣さんが主宰されていた同人誌 『琴座』 の安井浩司特集を取り上げておられます。そんで鶴山さんからお聞きした安井さん関連のお話を、不肖・石川のダイジェストでおおくりします。
石 『安井さんはどんな生活を送っておられるんですか?』
鶴 『私生活は存じ上げないけど、創作に関しては静かなものでしょうね。結社を持っていないし、俳人たちと密に交流してるわけでもないから、日々淡々と読書して俳句を創作しておられると思います』
石 『安井さんに関する面白いエピソードはないですか?』
鶴 『お酒が入るとちょっと面白い。〝俺は全国から集まってくる俳句を選句して、一生を終えるのはイヤだ!〟 とか叫んだりされます。俳句の切れ字について話していた時には、〝切れ字を気にして俳句が書けるかぁ!〟 って叫んでおられました。〝俳人なんて、俳句が書けなくなったら死んでいいんだ〟 とも言っておられたな (笑) 』
石 『恐い方なんですか?』
鶴 『俳句に関してはそうだなぁ。この前お会いした時は、〝最近本の帯や解説なんかを頼まれることがあるけど、なかなか本音は書かないかもよ〟 と言って、ふふふと笑っておられた。けっこう恐い言葉だったな』
石 『んんっ? どいういことですか?』
鶴 『そんなこと、恐くてお聞きできませんよ (笑)。あと一冊でも、一句でも多く書きたいモードに入っておられるから、散文には力を注がないということかな。安井さんに本気で散文を書かせるには、よほどの作品でなければならないということかもしれません。やっぱ人間、年齢によって仕事の質が変わってくるでしょう。安井さんはご自分の仕事だけに集中していい年齢だと思います』
石 『安井さんのお弟子さんは、豊口陽子さんお一人ですよね』
鶴 『そうです。今後も豊口さんだけじゃないかな。麗しい師弟ですよ。豊口さんには師である安井さんへの無償の愛が感じられる。そのせいなのか、安井さんは豊口さんにはちょっと邪険なんだ。それだけ豊口さんに気を許しているということでしょうね。ほかにそういう人はいないな』
石 『鶴山さんにとって、安井さんが最高の俳人なんですか?』
鶴 『安井さんの作品評価は、僕らよりもずっと後の世代が決めることです。ただ仕事に取り組む姿勢とか、仕事での筋の通し方とか、見習うべき点が多い。現存の俳句作家の中で最も尊敬しています。文学者として立派な方です』
■ 鶴山裕司 連載評論 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 『 No.020 『琴座』 安井浩司特集』 ■