鶴山裕司さんの連載評論 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 『 No. 019 『Unicorn』 その四 (第 4 号) 』 をアップしましたぁ。『Unicorn』 についての評論は今回で最後です。詳しくはコンテンツをお読みいただければと思いますが、後に著名になる作家を何人も輩出した同人誌は、終刊号も出さずにプツンと終わっていることが多い。しかしそれは若手作家が集った同人誌の場合です。文学の世界には長期間続いている同人雑誌もあるようです。そういった性質の同人誌のレーゾンデートルについては、その同人の方々が鶴山さんとは別の定義をなされば良いと思います。
ただ鶴山さんが書いておられるように、『同人誌に集う作家たちは、自分一人では為し得ない認識地平を把握しようと模索し、その糧となる刺激を求めている。そのため希求している認識が得られたとき、あるいは得られないとわかった時に同人誌は解体する』 のは確かでしょうね。同人誌は続いたとしても、同人を辞めることになるわけです。小説界では同人誌は作品発表のペースメーカーとして機能していることがありますが、それだけでは物足りないと思います。作品発表のためなら個人誌や本を出せばいいわけです。
でもまあ後から振り返って面白いのは、やはり若い作家が集まって喧喧諤諤やっていた同人誌です。不肖・石川も、日本文学館などから復刊された昔の同人誌を何セットか持っています。同人間の軋轢があったことがわかっている雑誌でも、内容は意外とおとなしいですよ。雑誌は作品発表の場ですから、作家たちは真面目に取り組んでいます。その行間を読んでいくのが、昔の同人誌読みの醍醐味かもしれません。
■ 鶴山裕司 連載評論 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 『 No.019 『Unicorn』 その四 (第 4 号) 』 ■