水野翼さんの文芸誌時評 『 No.010 小説 野性時代 第 117 号 ( 2013 年 08 月号) 』 をアップしましたぁ。『 SF 特集 未来に気をつけろ』 を取り上げておられます。言いにくいですが、このキャッチコピー、もーちょっとなんとかならんかったものかいなと思ってしまいますね (爆)。瀬名秀明、宮内悠介、八杉将司さんが執筆されています。
SF についてはハヤカワさんの 『S-Fマガジン』 を水野さんや池田浩さんが時評されています。文学金魚的に 〝SF とはなにか?〟 といふ原理的定義から議論をされています。この伝でいふと 『小説現代』 さんは大衆文学誌といふことになります。大衆文学は簡単に言えば、現実に即したプロットがあり、肩肘張らずに気楽に読める小説です。ぶっちゃけ売れる小説 (売れなきゃ困る) 小説であります。
ふんじゃあ売れないけど文学的価値の高い純文学と大衆文学に、決定的な差があるかといふとそうでもない。SF なら K・ディック、アシモフ、レム、ストルガッキー兄弟などの作品は、日本的に言えば純文学だと言っていい。そもそも日本近代文学の祖である漱石先生は、読者を楽しませたいといふ目的を持って新聞連載小説を書いていたわけです。
小原眞紀子さんが 『文学とセクシュアリティ』 で男性性と女性性を人間存在を構成する原理的二要素として捉えておられますが、純文学と大衆文学概念も文学を構成する原理的要素だと思います。戦後の大出版ブーム (小説ブーム) に乗って純文学と大衆文学というカテゴリが生まれたわけですが、それは文学の本質に関わる問題ではないでしょうね。
で、日本の SF 小説で純文学作家は誰だろうとつらつら考えると、どーしても筒井康隆さんと夢枕獏さんの名前が思い浮かんでしまいます。貘さんは、筒井さん主宰の同人誌からデビューされた作家ですし。でもそーすると、〝日本の SF とはなにか?〟 といふ原理的定義は難しくなってしまひますね。少なくとも単純な Science Fiction ではなさそうです。
■ 水野翼 文芸誌時評 『 No.005 小説現代 2013 年 07 月号 』 ■