山際恭子さんのTVドラマ批評 『No.028 夫婦善哉』 をアップしましたぁ。織田作之助原作の小説で、織田さんは今年生誕 100 年だそうです。『夫婦善哉』 は代表作ですが、織田さん、34歳の若さで亡くなっちゃったんだよなぁ。もう少し時間があれば、もっといい仕事ができたのにと感じさせる作家の一人です。あ、テレビドラマの主演は森山未來と尾野真千子さんで、火野正平、根岸季衣、田畑智子、佐藤江梨子、平田満、草刈正雄、麻生祐未、岸部一徳といった豪華俳優陣が脇を固めています。さすが NHK さん (笑)。
そんで 『夫婦善哉』 は、過去に何度か映画化やドラマ化されています。不肖・石川、森繁久彌と淡路千景さん主演の映画版を見たなぁ。こういう役をやらせると、森繁さんってすんごくいいんです。喜劇役者時代の作品ですが、森繁さんはいつも喜劇だけではおさまらない何かを漂わせている。『台所太平記』もよかったなぁ。あ、確か森繁さん、戦前では珍しい、大阪弁と東京弁の完璧なバイリンガル (?) だったんですよね。今回主演の森山未來、尾野真千子さんのお二人も、関西出身であります。
そんで山際さんの批評、的をついていると思います。現在は 『ダメ男に対する分析が進んでしまった世の中』 です。また 『夫婦善哉』 は、いわば手垢がついた作品です。現代では 『こんな男への同情を、観る者に強いても無駄』 ですが、だからこそドラマ化する価値があるとも言えます。
山際さんは 『森山未來のさらっとした、ほのかに魅力の漂うダメ男ぶりは、そういう現代の視線を意識してのものだろうか。だとすると、怖ろしいまでに知的な処理だ』 と書いておられる。尾野真千子さんはもちろんですが、このドラマでの森山未來さんはいいですよ。四話完結の短いドラマですが、秀作になりそうです。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.028 夫婦善哉』 ■