金井純さんの連載BOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇』 『 No.023 君の可能性―なぜ学校に行くのか』 をアップしましたぁ。教育者で歌人でもあった齋藤喜博さんの名著を取り上げておられます。この本も中学受験で頻出しているやうです。齋藤さんは歌人としてはアララギ派で、土屋文明さんのお弟子さんです。アララギは言うまでもなく正岡子規の弟子だった伊藤左千夫が創刊した歌誌で、その後分裂しました。齋藤さんは郷里・群馬で 『ケノクニ』 (毛の国) という歌誌を主宰しておられました。
それにしても金井さんの文章は手厳しいなぁ。『現在の苦悩は、可能性を試させてもらえないことより、わずかな可能性を肥大化して見せつけられ、いつまでたっても諦めきれず、お金と時間が限りなく出てゆくことだ。生涯教育というのは、悟りのない、可能性を捨てきっていない趣味ということか。優雅さの代わりに、微かな希望がある』 と書いておられます。ま~確かにその通り (笑)。この傾向は子供たちの教育現場だけでなく、就職して働き始めた人や、文学者の卵たちにも指摘できるでしょうね。
もちろん自己の可能性を追い求めることは年齢を問わず必要です。しかし 『情報過多の現在、子供も保護者も、可能性を温存しつつ正面突破を避けるような逃げ道をうまく探し出すことに血道を上げている』 のも確かです。自分の手で為すのか他人からそうされるのかを問わず、時には夢に 〝引導を渡す〟 ことも必要。
不肖・石川、編集者として、できるだけ公平で、かつ作家の才能を見落とさないようにしたいと心がけていますが、時には引導を渡さなければならない。それやると、メチャクチャ恨まれ罵倒されるんだなぁ (爆)。でも石川の判断は絶対ではありません。吉本隆明は 〝世界と自己との戦いでは自己に味方せよ〟 と言ったようですが、一念発起して石川を見返した作家さんは心から尊敬しますし、お詫びもしますですぅ。
■ 金井純 連載BOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇』 『 No.023 君の可能性―なぜ学校に行くのか』 ■