星隆弘さんの音楽批評 『ONGAKU & BUNGAKU BY KINGYO No.007 うたがうまれる/DiVa—詩の受声、うたの脱体』 をアップしましたぁ。DiVa 評第三弾です。新譜 『うたがうまれる』 を中心に論じておられます。星さんはアルバムに収録された 『うそつき きつつき』 について 『DIVAの 「うた」 は木管の立つ森の雰囲気を伝える。Makoring の声の透明感は木立に流れる空気のように、舌と歯に当たった息の破裂音はキツツキの嘴のように 「見える」。「うた」 に森を見立てる目のたのしみを添えるのだ』 と書いておられますが、まさしくそうですねぇ。
谷川俊太郎さんはかなりの量のノンセンス詩を書いておられます。金魚屋アドバイザーの詩人さんたちにうかがったのですが、ノンセンス詩はとぉっても書きにくいそうです。『ノンセンス詩はルイス・キャロルやエドワード・リアなど、インテリ中のインテリが書く詩のジャンルでね。詩人なら一、二作は書けるだろうけど、詩集にまとめられるほど書ける詩人はほとんどいない。日本では俊太郎さんくらいかな。しょーもないブンガク的苦悩を書く方が、実はよっぽど簡単なんだ』 とおっしゃっていました。文章は上品ですが、会話だと金魚屋アドバイザー詩人さんたちは実に口が悪い (笑)。
不肖・石川が読んでいても、ノンセンス詩は言葉の語感や形 (平仮名、カタカナ、漢字) などの特性を意識した作品で、コトバを客体化してモノのように扱っていると思います。詩人によって客体化されたコトバの詩はさらなる客体化を求めるようで、DiVa の新譜では 『うそつき きつつき』 のほか、『すり』 『いるか』 などのノンセンス詩も歌になっています。特に『うそつき きつつき』 『いるか』 は傑作ですね。前者は確かにキツツキが木を嘴で叩いていますし、後者はイルカが大海原を泳いでいますぅ。
■星隆弘 音楽批評 『ONGAKU & BUNGAKU BY KINGYO No.007 うたがうまれる/DiVa—詩の受声、うたの脱体』 ■