金井純さんのBOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.019 江國香織『すいかの匂い 』』 をアップしましたぁ。金井さんは 『数年前の芝中学の入学試験で、江國香織の 『神さまのボート』 から出題された。あんな小説を子供の入学試験、それも男子校の入試に出して、どうするんだ、と思った向きも多いだろう』 と書いておられます。確かにそうですねぇ。あの小説に小学 6 年生の男の子がビビッドに反応できるとは思えないな。受験は学力を試すためではなく、その学校に向いていない子を落第させるためのシステムだと言われるのは、ゆえなきことではありませんね。
江國さんは不肖・石川も大好きな作家さんです。押しも押されぬ流行作家ですが、彼女の作品には表現の核がある。初期作ですが、『神さまのボート』 などはその典型でしょうね。ちょい前にNHKのBSでドラマ化されて石川も見たのですが、ん~なんだかな~といふ感じで御座いました。そんな能力ありゃしないのですが、こりならおいらにシナリオ書かせてくれぃと言いたくなってしまひましたね (笑)。
金井さんは 『江國香織の作品が魅力的なのは、それが究極のアンチ・ビルディングスロマンだからだ。人も物も、すでにそこにあるようにしてある。永遠に。何にもなる必要はなく、何も失うものなどない』 と書いておられます。まったくその通りなのですが、江國さんに成熟がないわけではない。でもそれがまた一ひねりしてるんだな。『東京タワー』 などが典型的だと思いますが、あれは一種の堕天使の戯れですね (笑)。堕落だと承知で現世の愛欲にまみれている。その分、作家の純な感覚が際立つ作品だと思いますぅ。
■ 金井純 BOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.019 江國香織『すいかの匂い 』』 ■