岡野隆さんの詩誌時評 『No.014 月刊俳句界 2013年02月号』 をアップしましたぁ。小林一茶と鈴木真砂女さんの特集を取り上げて、作家の実人生と作品との関係を論じておられます。そんで岡野さんのコンテンツを読んでいて、そう言えば小林一茶って、ちゃんと読んだことがないなぁと思いました。『雀の子そこのけそこのけお馬が通る』 や 『やせ蛙まけるな一茶これにあり』 といった代表句は知っていますが、句集を通読したことがない。それに一茶さん、相当に筆まめで、散文もたくさん書き残しておられるようです。
散文では 『父の終焉日記』 や 『おらが春』 などが有名なようです。特に 『父の終焉日記』 は、死の床にあった父親の看護日記であると同時に、継子として苛められた幼少時代の回想であり、自分を苛めた継母と弟への批判の書でもあるようです。父親の死後、一茶は継母と弟相手に遺産相続争いをしますから、自分の主張を有利にするための書でもあったようです。石川は読んでないのですが、一茶さんの平明な文体で掻き口説かれると、うんうんそうだよねぇ、あなたの主張は正しいと言ってしまひそうです (笑)。
なお 『父の終焉日記』 は、日本文学独自の私小説の先駆的作品とも呼ばれているようです。岡野さんは 『一茶は親しみやすいが俳句文学における巨峰である。彼の文学は言語的修辞意識を大胆に切り落とした断念の上に築かれている。優れた前衛俳句と同様に、極端 (エクストリーム) な文学なのである』 と書いておられますが、そうかもしれない。ちょっと読んでみやうと思いますですぅ。
■ 岡野隆 詩誌時評 『No.014 月刊俳句界 2013年02月号』 ■