岩見那津子さん連載演劇批評 『No.003 あかいくらやみ ~天狗党幻譚~』 をアップしましたぁ。俳優の長塚圭史さん作・演出の舞台で、原作は山田風太郎の時代小説 『魔群の通過』 です。小栗旬、小日向文世、白石加代子、原田夏希さんなど、豪華俳優陣が出演されています。
山田風太郎の原作小説は、水戸藩天狗党の史実を元にしていますが、長塚さんはそこに大胆な現代的な仕掛けとメッセージをこめておられるようです。詳細は岩見さんのコンテンツをお読みいただければと思いますが、劇の冒頭で玉音放送が流れ、古い旅館の中で恋人 (原田夏希) とはぐれた主人公・太一郎 (小栗旬) が、天狗党の行軍に巻き込まれていくという展開です。主人公を導くのが白石加代子さんですから、言うことありませんね。
人気俳優を使った商業演劇ですが、極めて質の高い仕上がりだったことがレビューからも読み取れます。演劇は目の前で演じられるわけですから、基本、〝事件〟 が起こらなければならない。でもそれが小説やテレビ、映画のように、時系列で説明的に起こってはいけないわけです。事件は事件そのものとして突然起こる。そのいっけん無関係な連鎖が、いつのまにかパズルのように組み合わさって大団円へと突入していくのが演劇のだいご味だと思います。
それにしても岩見さんのレビューは臨場感いっぱいですね。今目の前で繰り広げられている演劇が、観客にどんな効果を与えたのかをきっちり書いてくださっています。どういう作品だったのか理解できると同時に、もしこの作品をDVDなどで見る際にも、鑑賞の参考になると思います。
■ 岩見那津子 連載演劇批評 『No.003 あかいくらやみ ~天狗党幻譚~』 ■