金井純さんの連載BOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.018 江國香織 『すきまのおともだちたち』 』 をアップしましたぁ。『すきまのおともだちたち』 は江國さんのファンタジー小説です。主人公の女の子が 『ときおり 「すきま」 に落ちる』。そこではお皿が暮らしている。女の子にとってすきまに落ちている時間は一瞬なんですが、お皿たちの世界では次に女の子が現れるまで長い時間がたっていて、彼女は 『一年前、あるいは八年前に急にいなくなったと、お皿に怒られる』 わけです。
こういう設定は very 江國さん的で、江國さんの読者はそれだけでワクワクしてしまうのではないかと思います。男も女も心の中のどこかに 〝子供〟 である自分を抱えています。でもその現れ方がちょっと違う。女性は肉体的変化が激しい分だけ、自己の中の子供性をしっかりとした基盤として捉えている傾向があります。これに対して男性は基本的に身体がばかでかくなっていくだけなので、子供性よりも社会的な変化に敏感だという面がある。男の子供っぽさは、その社会性の裏返しでもあるわけです。
江國さんはしっかりとした表現観念 (思想) をお持ちの作家さんです。このくらい純な観念を抱えていて、なおかつ流行作家である書き手は非常に少ない。直木賞作家さんですが、本質的には純文学作家に与えられる芥川賞作家でもいいのではないかと思います。そー言えば文学金魚では小説評論はまだ掲載してないなぁ。谷輪さんや大篠さんに相談してみやうかしらん。
■ 金井純 連載BOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.018 江國香織 『すきまのおともだちたち』 』 ■