金井純さんの 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.015 向田邦子『父の詫び状』』 をアップしましたぁ。金井さんによると、小説だけでなくエッセイも中学受験に頻出するそうです。小学 6 年生には難しいかもしれないけど、向田邦子さんはうってつけかもしれないなぁ。いい面もあるんですが、最近書かれた作品はやっぱ生臭い。向田さんは昭和56年に飛行機事故でお亡くなりになっていますから、最新作でも30年以上経っているわけです。このくらい時間が経過してると、何かの本質をついた作品しか残らないですよね。
金井さんは『随筆というのは小説以上に、持って生まれたセンス、才能で決まるものらしい』と書いておられますが、そのとおりだと思います。随筆の名手って少ないんですよ。物書きなんだから、小説家・詩人でも書けるだろうと思われがちですが、ぜんぜんそんなことはありません。小説や詩は書けるけど、エッセイは苦手って作家がほとんどです。向田さんは脚本家・小説家であり随筆の名手でしたが、こういった方の方が珍しいです。
随筆でやらない方がいいのは 〝事件〟 を書くことです。ブログを始めた時は書くことたくさんあると思っていても、一ヶ月くらいでネタが尽きちゃうこと、よくありますよね (笑)。ネタが尽きても書き続けようとすると、お洋服と食事とペットが三大ネタになりがちです。金井さんが書いておられるように 『ある耳目をそばだてる 「できごと」 があって、その顛末に沿って感情の起伏を描』 いていては、プロの随筆家になれません。
〝今日鼻毛を抜いたら長かったぞ 〟ってネタくらいで 1200 字書けて、それを月5本ペースで書き続けられるなら随筆のプロと言っていいです。林真理子さんは最近ではものすごく優秀な随筆家ですが、事件を書いていることが少ないです。ほんの些細な日常を描いておられる。山口瞳さんなんか、病院に行って、家の近くの喫茶店でコーヒーを飲んだっていう日常だけで5枚くらい書いておられた。随筆の名手でしたねぇ。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.015 向田邦子『父の詫び状』』 ■