金井純さんの 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.014 浅田次郎 『鉄道屋』』 をアップしましたぁ。高倉健さん主演で映画化もされた浅田次郎さんの代表作です。浅田先生は 〝泣きの次郎〟 と呼ばれるくらい泣かせる小説がお得意です。『鉄道屋』 は短編集で 8 つの小説が収録されていますが、金井さんが書いておられるように 『どんな人もたいてい一つは琴線に触れるものがある』 わけです。〝泣かないぞぉ〟 って思っていても、ついホロリとしてしまひます (笑)。
不肖・石川、一時期ずいぶん浅田先生の作品を読みました。いろんなテクニックで泣かせられちゃったわけですが、作品を読み続けているうちに妙な疑問が湧いてきました。〝浅田先生の、この人を泣かせようといふ情熱はどこからくるんだろう〟 といふものです (笑)。そのくらい先生の小説はスゴイんです。どうだ、これでも泣かないか、よし、じゃあこれだぁ!って感じで、泣きの仕組みが重層化しています。しまひにはその情熱とテクニックに心から感動してしまふようになりました。
でも浅田先生の小説が、大人のための作品であることは確かだと思います。金井さんは 『日本人の心の琴線に触れるものとは、結局のところ 『勧進帳』 に尽きる。それを理解できれば 「大人」 なのである』 と書いておられますが、そうかもしれないなぁ。浅田先生の小説で僕らの涙を誘うのは、耐える人の姿です。やんちゃな若者もやがてそれを理解するようになる。その意味で立派なビルドゥングスロマン (少年少女成長小説) であり、教育の書でもあると思います。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座・中学受験篇 No.014 浅田次郎『鉄道屋』』 ■