大野ロベルトさんの新連載評論 『『無名草子』の内と外―読み、呼び、詠み、喚ぶ― 第001回 名前のないテクスト』 をアップしましたぁ。大野さんは国際基督教大学 (ICU )の博士課程に在籍しておられる日本文学の研究者です。お名前からわかるように、日本とスペインのハーフで超イケメンだとか (笑)。創作者としては〝大野露井〟というお名前で 4 冊の本 (限定本です) を出版されています。鶴山裕司さんが『新たな〝書物〟―大野露井『百奇箪笥/愉快な人々/結晶舟歌』』という書評を書いておられるので、是非ご一読ください。
不肖・石川は 『無名草子』 という古典随筆があることを知りませんでした。正治 2 年 (1200年) 頃成立ということなので、鎌倉初期で 『源氏物語』 などが書かれてから約 200 年後ですね。この 『無名草子』、どうもテキスト批評的な随筆という側面があるようです。もちろん平安・鎌倉時代に現代的な意味での 〝テキスト批評〟 意識はなく、『無名草子』 もいかようにでも解釈できる随筆なので、あまり有名ではない古典として扱われてきました。しかし 『無名草子』、面白いですね。恐らくなんらかの日本文学の本質がそこで表現されている。大野さんの連載に期待であります。
そんで金魚屋執筆陣の中で大野さんの評価はすんごく高いです。文学に限らず人間の世界では明日のことが一番大事です。明日、どうやって食っていくか (書いていくか) が最重要課題なわけです。でも 5 年後、10 年後のヴィジョンも必要です。バラしてしまひますと、金魚屋執筆陣の多くの方が、1980 年代後半頃から文学の世界に現れた中途半端な前衛文学は、時間が経てば文学史からキレイに消え去るだろうという考えで一致しています。それは確実に新しい文学が現れれば簡単に明らかになってしまうことですが、大野さんはそのような書き手の一人だろうということでした。石川なんかは 〝誉めすぎ?〟 とか思ってしまふのですが、金魚屋執筆陣を興奮させる著者の一人だといふことは確かなようです。
■ 大野ロベルト 新連載評論 『『無名草子』の内と外―読み、呼び、詠み、喚ぶ― 第001回 名前のないテクスト』 ■