山際恭子さんのTVドラマ批評 『No.019 いつか陽のあたる場所で』 をアップしましたぁ。上戸彩、飯島直子さんW主演のNHKさんのドラマです。美人女優さんお二人が、前科のある女性を好演しておられます。NHKさん、最近、美人女優さんに暗い役を演じさせるのがお好きなのかな。山際さんが前に取り上げた 『書店員ミチルの身の上話』 の戸田恵梨香さんも、民放での彼女のイメージとは違う影のある役でした。
そんで山際さん、『うーん。悪くない。上戸彩は悪くない。悪いのはホストである』、『うーん。悪くない。飯島直子が悪いわきゃない。悪いのは DV 亭主と理解のない世間だ』 とお書きになった上で、『だとすると、このドラマが言いたいことはいったい何なんだろう』 と問いかけておられます。確かに難しい問題ですねぇ。小説もドラマもフィクションですが、社会とダイレクトにつながっているから多くの人を引きつけるのです。つまりなんらかのメッセージがそこにこめられているわけです。
それが何かは作品を読んだり見たりして判断していただくほかないですが、フィクションではしばしば 〝主人公〟 に対する作家や読者の 〝思い入れ〟 が過剰になります。犯罪者であっても頭が良く、普通の人より感受性が鋭敏な主人公がほとんどです。つまりフィクションでは、といふよりフィクションであるからこそ頭の悪い主人公を描くのは難しいわけです (笑)。
特に映像作品では人間の心の闇を描くのが難しいですね。小説家や脚本家は基本的に言葉の人ですから、すべて言葉で説明しようとします。そうすると、理路整然として感性豊かな登場人物が多くなってしまう。だから悪意やはずみの行動を含めた微妙なところは、役者さんの表現力にまかせてしまうのも一つの手だと思います。NHKさんの暗めのドラマ、今後も楽しみであります。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.019 いつか陽のあたる場所で』 ■