金井純さんの 『親御さんのための読書講座・中学受験篇』 『No.008 江國香織『ぼくの小鳥ちゃん』』 をアップしましたぁ。金井さんも書いておられますが、江國さんは児童文学からデビューされた作家さんであります。小説雑誌新人賞 → 芥川・直木賞という流れを踏んでいないわけで、いい意味で従来のセオリーを外れた作品をお書きになる作家さんです。
もんのすごく乱暴なことを書きますが、小説の世界で傑作と呼ばれる作品で、〝売れなかった作品〟 はほぼ存在しません。出版直後にベストセラーにならなくても、ロングセラーとなった作品が圧倒的に多い。それは偶然ではなく、小説文学の特徴だと思います。小説はマスの欲望を言語化する芸術です。時代の流れを捉え、それを多くの人が理解・共感できる作品に仕上げるのが小説の基本的な姿だと思います。
いわゆる文壇では純文学 = 芥川賞、大衆文学 = 直木賞作家という区分けがあります。しかしこれは現世的な区分方法でしかないでしょうね。江國さんは直木賞作家ですが、純文学的資質の高い作家さんだと思います。僕たちの同時代文学の中で、将来傑作と呼ばれる作品に、江國さんの 『神様のボート』 などが入っていてもちっとも不思議ではないと思うのであります。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座・中学受験篇』 『No.008 江國香織『ぼくの小鳥ちゃん』』 ■