釈照太さんの詩誌時評 『No.009 角川 『俳句』 2012年12月号』 をアップしましたぁ。『大震災と詩歌』 というシンポジウムを取り上げておられます。俳人の高野ムツオ氏、歌人の佐藤通雅氏、詩人の和合亮一氏による座談会です。雑誌の表紙を見ると、『震災は俳句・短歌・詩に何をもたらしたのか』 と書かれています。約 1 年半を経て、東日本大震災が詩歌の世界に与えた影響を検証してみようというシンポジウムです。
シンポジウムの詳細は釈さんのコンテンツをお読みいただければと思いますが、東日本大震災の衝撃は、文学に限らずスポーツ、芸能の世界にまで拡がっていました。多くの人が自分の無力さに苛まれ、個人としてはお金を寄付したり被災地でのボランティアの仕事に従事し、対社会的(公的)な仕事としては、たとえ復興には直接役に立たないとしても、改めてそこで全力を尽くすことを誓ったという姿が見られました。いずれも立派なことだと思います。
また地震と津波の圧倒的な衝撃は去ったとはいえ、復興への道のりはまだまだです。明確には分類できませんが、あの震災で多くの表現者が 〝個(天災には無力な被災者・傍観者)〟 と 〝公(対社会的に作品を発表する作家)〟 の間で引き裂かれたわけです。その問題も一定の解決を見るまでには至っていません。ただ文学の表現者として最も真摯な大震災への対応は、やはり優れた作品を書くことでしょうね。その意味で大震災のアポリアは、今も続いていると思います。
■ 釈照太 詩誌時評 『No.009 角川 『俳句』 2012年12月号』 ■