星隆弘さんの演劇批評 『No.008 『言葉』(F/T 12・その3)』 をアップしましたぁ。村川拓也さん演出の意欲的作品であります。作品のテーマはズバリ『言葉』。それも演出家の村川さんと、俳優の工藤修三さん、前田愛美さんが今年の夏に、東日本大震災の被災地である福島から宮城を訪れた際のメモ書きを、台詞の下敷きにしておられます。
劇評を読ませていただいただけですが、『言葉』は非常にレベルの高い実験的演劇作品だと思います。東日本大震災以降、自由詩や小説といった芸術ジャンルはそれを作品主題に取り上げてきたわけですが、そのいずれにも僕たちは全面的な賛辞を送れなかったのであります。絶対的に現実から 〝遅れる〟 書き文字の言語表現は、あの衝撃をどうしても整理整頓してしまう。自由詩や小説は、本質的には衝撃の 『前』 か 『後』 しか表現できないのではないかと思ってしまうのです。
もちろん 舞台作品『言葉』 も現実から遅れています。しかし演劇という 〝現在〟 が、その遅れを無化するように構成されているように思います。まとまりがない、というよりまとまりをつけない生の言葉が観客に届くように演出されているようなのです。
作品の最後の方で、俳優さんが 『地震・・・地震だ』 と言葉を発するようです。『言葉』 の演劇空間にどっぷりつかっていたら、地震嫌いの不肖・石川は、『ええっ! 地震なのっ! どこっ? いや、いつっ!』と叫んで立ち上がってしまひそうですぅ (笑)。
■ 星隆弘 演劇批評 『No.008 『言葉』(F/T 12・その3)』 ■