今月から樂月慎さんの連作小説『檸檬に、キスマーク』を全 7 回 (7 ヶ月) に渡って連載します。1 話ごとの読み切り小説です。第 1 回目は 『失脚したワタル・ヒトラー』です。樂月さんには以前、『色恋セラビー』 連作から、『膝枕に雨音が』 を掲載していただきましたが、今回は全く新しい作品の、しかも長期連載です。
前回、お原稿をいただいた時にも書きましたが、樂月さんの小説世界は独特です。現実描写はちょっと残酷なほどザラザラとしていますが、その奥に蠢く何かを捉えようとなさっています。その何かがまた、摩訶不思議なのです。懐かしいようなものであり、未知の恐怖を与えるようなものでもあります。いずれにせよ、樂月さんが描こうとなさっているのは、『小説作品』 でしか捉えられない微妙なものです。
すぐれた作家は、自分が選んだジャンルでしか表現できない何事かを描こうとするものだと思います。是非お読みになって樂月慎さんの世界に触れ、存分に楽しんでください。
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