水野翼さんの文芸誌時評 『No.003 文藝 2012年08月号(秋号)』 をアップしましたぁ。特集は 『赤坂真理』 であります。赤坂さんの新刊 『東京プリズン』 が河出書房新社から刊行されるので、そのプロモーションを兼ねた特集です。「16歳の女の子から見た戦後」という、赤坂さんらしい仕掛けがほどこされた新作長篇小説のようです。
水野さんが触れておられますが、メディアが発信する情報がなんらかのパブリックな使命を帯びたものなのか、単なるお手盛りなのか、微妙なところです。今に始まったことではなく昔から微妙なのですが、その微妙さをメディア、作家、読者の出版・読書界を構成する全員が、否応なく意識せざるを得なくなっているのが現代の状況です。
その気になれば裏の裏まで見えてしまう、というのがネット時代の特徴です。今では誰も作家が特権的知を持ったインテリだとは考えていません。そうなると作家の取る道は 2 つしかありません。圧倒的な専門性を獲得するか、その幻想を煽るかです。メディアは両者をプロモーションするわけですが、読者は 「宣伝」 の質を敏感にかぎ分けるようになっています。
また裏の仕組みが見えやすいので、誰でも作家になれるという幻想が蔓延しています。確かにそういう面もあるのですが、作家であり続けるための敷居は高くなっているとも言えます。圧倒的な専門性を獲得するのは困難です。しかし作家的幻想を身にまとうのも並大抵ではない。身を粉にした文壇・詩壇営業が必要です (笑)。どうせなら、作家は文学の専門家になっていただきたいとは思うのですが。
PS.
なでしこベスト 4 進出おめでとうございます~。ワールドカップもそうですが、日程がタイトなので、決勝リーグに入ると本当に強いチームしか勝ち進めません。なでしこに圧倒的な強さは感じませんが、勝ち方を知っているように思います。あと 2 つ。決勝で戦うなでしこ見たいですぅ。
■『No.003 文藝 2012年08月号(秋号)』 URL■