長岡しおりさんの文芸誌時評『No.002 小説 野性時代 第103号(2012年6月号)』をアップしましたぁ。「特集 畠中恵すごろく」 というタイトルで、畠中さんの特集を組んでおられます。ほかにも少女小説の大ヒット作『西の魔女が死んだ』の梨木香歩さん、医療小説『チームバチスタの栄光』の海堂尊さんが書いておられるなど、大衆小説誌はやっぱりそつがないですなぁ。
長岡さんが書いておられるように、大衆小説における時代モノは、「ご都合主義に素朴な「昔の人間」が出てくる時代小説」 という面があるのは確かです。売れっ子作家はとにかく作品を量産する必要があるので、作家にとって書きやすい題材を見つけること、読者の反応が良ければ、連載やシリーズ物にしていかなければならないというルールもあります。
これは今に始まったことではなく、『鬼平犯科帳』の池波正太郎さんの時代からずっとそうです。もっと古い時代からそうなんですけど。でも量産するうちに、傑作が生まれることがあるのが大衆小説のだいご味です。『鬼平』でいえば中村吉右衛門さんの舞台でも大ヒットした『大川の隠居』などです。
池波さんは時代考証にはうるさい方でしたが、『大川の隠居』などを読んでいると、江戸時代とかの設定とは関係なく、ある人間の本質が描かれていることに気づきます。「人情物」といってしまえばそれまでですが、人間ってあんまり変わってないなぁと思わせるような本質がそこにあります。
畠中恵さんは以前何作か読んだことがあるのですが、ちょっと申し訳ない言い方ですが、可愛らしいお雛様、お内裏様がちょこちょこ動いている時代小説という印象がありました。しかし最近の『つくもがみ』シリーズで独自の世界を開拓されたようです。長岡さんも 「私たちの感じる時代小説への違和感を同じくし、解消しようとする作家」 と絶賛されています。僕もまた読んでみやうと思います。
ところで今日から、文学金魚の 「LATEST ENTRIES」 の画像の上に、「文芸誌時評-小説野性時代」 といった、文字によるディレクトリ表示を付けました。谷輪さんから 「LATEST ENTRIESはいいんだけど、なんのコンテンツなのか、わかるようにできないかな」 とずっと言われていたのであります。
ちっこい字になってしまひますが、とりあえずどのディレクトリに所属するコンテンツかは識別できるようになったと思います。HPってまだまだ改善ポイントがありますねぇ。もっといい技術的改善が可能なら、別の方法も試してみたいと思います。