金魚さん(齋藤都代表)の文芸誌時評総論『小説NON(ノン)とは』をアップしましたぁ。祥伝社さんの出版物はよく目にするんですが、恐縮ですが、どんな会社かというイメージは持っておりませんでした。金魚さんによれば、「祥伝社はいわゆる一ツ橋グループに属し、小学館が母体ということになる」そうです。よく勉強しておられますなぁ(笑)。
そんでちょい興味がわいたので、僕も祥伝社さんのHPをのぞいてみました。今話題の沢尻エリカさん主演映画、『へルタースケルター』の、岡崎京子さん原作マンガも祥伝社さん刊なのですね。マンガのほかにも、小説、ノンフィクション、ノウハウ本、実用本など盛りだくさんであります。こりゃすんごいラインナップだなと感心してしまひました。
金魚さんは祥伝社さんの出版ノウハウを「人間とその知性のあり方を外形的にカテゴライズし、内面を無視するというものに近い」とまとめておられます。これには異論も多いでしょうが、HPを見ても、百花繚乱といふか、ごたまぜに見える祥伝社さんの出版物が、「売れること」を基準に選択されているのは確かだと思います。
小説やマンガに話を区切れば、それは人間の「内面」を描くものです。しかし人間の内面はあやふやなものです。売れ筋商品にするためには内面を「外形的」に整理して、できるだけわかりやすく読者に提示する必要があります。それがときに「人間とその知性のあり方を外形的にカテゴライズ」しているように見えるのでしょうね。
編集者目線で言わせていただければ、祥伝社さんはすんごく固い出版社だと思います。野球のホームランと同じで、出版界でベストセラーなど、そうそう出ないものです。確実な読者のいる売れっ子作家をおさえること、大きな需要があるジャンルの本を出すことが売るための一番確かな方法です。
政治、経済、ファッション、ダイエット、コスメ、ゲーム本などは固いんです。足は短いですが、宣伝すれば必ず一定部数が売れます。ただその場合でもわかりやすい「カテゴライズ」は絶対に必要です。『小説NON(ノン)』でいえば、金魚さんが書いておられるように、「世代間 おんなの闘い」、「話題沸騰! 大ベストセラー作家の真骨頂」といった見出しが祥伝社さんの売るためのノウハウということになります。
僕のような編集者であっても、各出版社の内実はなかなか見えてきません。でも金魚屋の文芸時評を読んでいると、少しずつわかってくることがあります。世の中、確かにビジネスが基本。本は売れなければあかんわけです。それにはオーソドックスであろうとノウハウがある。祥伝社さん、勉強になりました。今度金魚さんと話すことがあったら、「祥伝社さんを見習って売れる本を企画しましょう!」とお説教しておきます(笑)。